萌語り

◆不眠症


あまり眠らない方の呂布とか。
生前から眠りが浅く、夜は窓の外の空ばかり見てたとか。
人間は充実感がないと夜遅くまで起きてる傾向があるとか。
そんな感じで足りない分を補うために起きてるが。
結局、楽しい事なんてある訳がないので天を眺めてた。

逆にトール神はよく眠る方だったとか。
退屈な一日を少しでも短縮するために、それほど必要がないはずの睡眠をとる。
夢すら見ないほどに深く眠りについて、目を開ければ、また退屈な一日が始まる。

互いに真逆を行ってて、共に過ごすようになっても逆だったり。
前まではよく眠っていたが、呂布と過ごすようになって眠らなくなったトール神。
生前はあまり眠らなかったが、天界での日々が楽しくよく眠るようになった呂布。

そんな中、諸事情でトール神が遠出することになり。
生前のように、また眠れなくなった呂布とか。
雷神といる時に眠れていたことの方が異常だったと知り。
久しく忘れていたものだと、窓に腰掛けながら空を眺める日々。

トール神が夜遅くに帰ってくれば、寝室に友はおらず。
探してみれば、窓辺に腰掛け目を閉じている呂布がいて。
いつもより濃くなっている隈に気付き触れようとすれば。
その手を掴まれ、いつの間にか目を開けていた友に止められる。
お前がいなかったからだと雷神に言う呂布とか。


(2020/09/26)
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