◆はらぺこかみさま


if時空で唐突にトール神と遭遇する仔呂布とか見たい。
雷で焼け落ちた木に寄り掛かる行き倒れ状態の物体に対して。
何だあれは的に記号マークだけで驚くとか。
いびきかと思ったら腹の虫の音だったり。
一度は素通りした後に、肉まん持って来て引き返す仔呂布。
随分と美味そうな香りがすると目を開けるトール神。

仔呂布に肉まんを渡されるトール神。
原理的には、神様へのお供え物的な扱い。
しかも後に生贄の代用品の概念が発生する食べ物。

下界に降りてきた理由を忘れた神様。
何かを求めていたような気がした。
とても大切な、何かを。

ラグナロク後のトール神なので、鉄の手套がなく。
握り潰しかねないのでミョルニルは小さくして持ち歩いてる。
呂布以外には見えない神様。

月日は流れ。
山盛りの肉まんをパクパク食べる神様。
供えたら供えただけ食べる底なしの胃袋。
何故そこまで食べるのかと成長した呂布が問えば。
飢えているからだろうなと、相手を流し見てから言うトール神。

別に肉まんが好きなわけではなく。
この人間に渡される物だけが妙に腹を満たす。
ただ、それだけの話。


（2020/09/25）