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「僕がズミさんの所へ頻繁に行く理由ですか? ……そうはっきり聞かれると恥ずかしいですけど、一番の理由は会いたくてしょうがないからです。僕の心を放してくれないのが悪いんです。一目だけでも見たいし、触れ合いたいと思えてくる。だから、ズミさんがいない日は寂しいですね。本当は毎日会いたいんです。――ズミさんの水門の間の壁に!!
…………あれ? ズミさん? どうしたんですか? いつもより眉間のシワが」
「壁がそんなに好きならば、壁と結婚しなさい! この痴れ者がァアアア!!」
「ズミさん!?」
唐突にブチギレ席を立ったズミ。
その背中を唖然としながらザクロは見送るしかなかった。
「今のはザクロはんが悪いと、うちは思うよ」
同席していたマーシュは、呆れながら呟いた。
その言葉に、ザクロは驚いた様子でマーシュへと振り返った。
「何故?」
「何故って、ズミはんの所行く理由が、壁が目当てだからなんて言うんやもん」
そら誰だって怒るわ、とまだ温かい紅茶を飲みながらマーシュは答えた。
マーシュの答えに、心底不思議そうにザクロは首を傾げた。
「あの流麗な水が織りなす水門の間の、僕を魅了してやまない壁を毎日眺め、登りたいと思うのはいけませんか?」
「いっそズミはんの料理を毎日食べたいとかやったら、あんなにキレられることも無かったかもなぁ」
それでもズミに会いたい理由が料理だけなのもどうかと思うが、壁よりはましだと思う。
毎日通いたい理由が料理よりズミより壁では怒って当たり前、とマーシュは非常に残念な思考のザクロを眺めた。
「なあ、ザクロはん。ズミはんがいない日は寂しい言うてたけど、あれはなんでなん?」
「ズミさんがいない日は、水門の間の仕掛けが動かないですから」
そのままの水門の間の壁もそれはそれで素敵なんですが、と断言するように言い。
その後、いかにズミがいる日の水門の間の壁が素敵かを語るザクロ。
熱く語るザクロへと相槌を打ちながら、マーシュは密かにため息をつきたくなった。
「……ザクロはんは言葉足らずやなくて、言葉余りやね」
壁に対する熱い語りが余計やわ、という言葉をマーシュは紅茶と共に飲み込んだ。
end
(2014/03/21)
…………あれ? ズミさん? どうしたんですか? いつもより眉間のシワが」
「壁がそんなに好きならば、壁と結婚しなさい! この痴れ者がァアアア!!」
「ズミさん!?」
唐突にブチギレ席を立ったズミ。
その背中を唖然としながらザクロは見送るしかなかった。
「今のはザクロはんが悪いと、うちは思うよ」
同席していたマーシュは、呆れながら呟いた。
その言葉に、ザクロは驚いた様子でマーシュへと振り返った。
「何故?」
「何故って、ズミはんの所行く理由が、壁が目当てだからなんて言うんやもん」
そら誰だって怒るわ、とまだ温かい紅茶を飲みながらマーシュは答えた。
マーシュの答えに、心底不思議そうにザクロは首を傾げた。
「あの流麗な水が織りなす水門の間の、僕を魅了してやまない壁を毎日眺め、登りたいと思うのはいけませんか?」
「いっそズミはんの料理を毎日食べたいとかやったら、あんなにキレられることも無かったかもなぁ」
それでもズミに会いたい理由が料理だけなのもどうかと思うが、壁よりはましだと思う。
毎日通いたい理由が料理よりズミより壁では怒って当たり前、とマーシュは非常に残念な思考のザクロを眺めた。
「なあ、ザクロはん。ズミはんがいない日は寂しい言うてたけど、あれはなんでなん?」
「ズミさんがいない日は、水門の間の仕掛けが動かないですから」
そのままの水門の間の壁もそれはそれで素敵なんですが、と断言するように言い。
その後、いかにズミがいる日の水門の間の壁が素敵かを語るザクロ。
熱く語るザクロへと相槌を打ちながら、マーシュは密かにため息をつきたくなった。
「……ザクロはんは言葉足らずやなくて、言葉余りやね」
壁に対する熱い語りが余計やわ、という言葉をマーシュは紅茶と共に飲み込んだ。
end
(2014/03/21)
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