逢魔ヶ刻動物園
「どんな髪質をしてるんじゃ?」
「…………椎名、そろそろ止めろ」
不思議そうに、ワシワシと伊佐奈の髪を掻きまわす椎名は、その言葉をサラッと流した。
「不思議じゃ。水の中から出てきてもペッタリとせんから、もっとゴワゴワかと思ったら、違うんじゃな」
容赦なく髪を撫でたり梳いたりする椎名の興味は尽きそうになかった。
髪が乱れる、と言う以前に既にグシャグシャになった髪。
伊佐奈は諦め混じりにため息をついた。
「意外と触り心地がいいんじゃな。獣共の次ぐらいじゃが」
「…………」
無邪気に言う椎名に対し、伊佐奈は手を伸ばした。
手首を掴まれ、驚いた様に目を見開く相手を見据え、伊佐奈は口を開いた。
「椎名。俺の前で他人の事を言わない方が良い」
「何でじゃ? 早く手を放さんか」
眉を寄せて拘束から逃れようとする椎名。
意味の解っていないその様子に、失笑しながら伊佐奈は相手に手をかけ押し倒した。
「何をするんじゃ!!」
暴れようとする椎名を押さえ込み、伊佐奈は目を細めながら囁いた。
「髪ぐらいならいくらでも好きなようにさせたさ……だが」
甘やかしの終り
「俺といるのに、他人を思い浮かべたんだ。覚悟はできてるな? 椎名」
end
(2010/10/30)
「…………椎名、そろそろ止めろ」
不思議そうに、ワシワシと伊佐奈の髪を掻きまわす椎名は、その言葉をサラッと流した。
「不思議じゃ。水の中から出てきてもペッタリとせんから、もっとゴワゴワかと思ったら、違うんじゃな」
容赦なく髪を撫でたり梳いたりする椎名の興味は尽きそうになかった。
髪が乱れる、と言う以前に既にグシャグシャになった髪。
伊佐奈は諦め混じりにため息をついた。
「意外と触り心地がいいんじゃな。獣共の次ぐらいじゃが」
「…………」
無邪気に言う椎名に対し、伊佐奈は手を伸ばした。
手首を掴まれ、驚いた様に目を見開く相手を見据え、伊佐奈は口を開いた。
「椎名。俺の前で他人の事を言わない方が良い」
「何でじゃ? 早く手を放さんか」
眉を寄せて拘束から逃れようとする椎名。
意味の解っていないその様子に、失笑しながら伊佐奈は相手に手をかけ押し倒した。
「何をするんじゃ!!」
暴れようとする椎名を押さえ込み、伊佐奈は目を細めながら囁いた。
「髪ぐらいならいくらでも好きなようにさせたさ……だが」
甘やかしの終り
「俺といるのに、他人を思い浮かべたんだ。覚悟はできてるな? 椎名」
end
(2010/10/30)