断片話

◆提携
(伊椎+志久道)

「おもしろ!」
「ウサギさん! 邪魔しないでくれる!? 練習の邪魔だって何回言えばわかるの!?」

手元を乱した道乃家は宙高く投げていたボールを受け止め練習をやめた。

「ワシもやってみたい!」
「人の話聞いてた!? ウサギさんがこっち来るとあの仮面の人が怖いの!」
「何じゃクジラマンなら何も言わんぞ?」
「あーやだやだ! そうやって猫かぶりに騙されてる事に気付かない!!」
「道乃家さん、飯の時間」

大げさに手振りを加えながら力説していた道乃家は、テントに入りながら声をかけてきた人物へとぎこちなく振り返った。

「クマ! ワシはまだ用があるんじゃ!」
「どうでもいい、道乃家さん行くぞ」
「志久万さん、爪! 爪近い!!」

強引に引き寄せられ、鋭い爪が自分を掴んでいる事に道乃家は悲鳴をあげそうになった。
軽々と抱えられ連れ去られる道乃家を前に椎名は頬を膨らませた。

「つまらん!」
「ちょっとウサギさん!? 簡単に諦めないで!! まだ連れ戻せるよねコレは!!」


(2011/05/05)
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