断片話
◆干支の置物
「今年の干支は兎か……」
「館長、それがどうかしましたか?」
唐突な呟きにサカマタは訊き返した。その言葉をさほど気にせず伊佐奈は独り言を続けた。
「椎名の所にある『ワシ像』を館内に飾るか」
「…………」
「ああ、それだと大衆の目に椎名の姿を晒す事になるのか。いや、それなら俺の部屋に飾れば良い事か……だがそれだと大きさ的に入りきらない。……『ワシ像』のレプリカを小さくして飾るか?」
ボソボソと考えを口に出している伊佐奈。嫌な予感がしながらサカマタは意を決して口を挟んだ。
「館長、あの兎男は自分の作品は渡さないかと「サカマタ」
考えがまとまった伊佐奈は、ニッコリと笑いながらサカマタの言葉を遮った。
「とりあえず、小さいレプリカを作るにしても『ワシ像』が必要だから運んできてくれるか?」
「……でらわかりました」
■
「絶対に嫌じゃ」
「レプリカを作るために一時的に貸し出すだけでいい。それも館内には飾らず館長室に飾るだけだ」
「それが一番嫌じゃ!!」
(2011/01/01)
「今年の干支は兎か……」
「館長、それがどうかしましたか?」
唐突な呟きにサカマタは訊き返した。その言葉をさほど気にせず伊佐奈は独り言を続けた。
「椎名の所にある『ワシ像』を館内に飾るか」
「…………」
「ああ、それだと大衆の目に椎名の姿を晒す事になるのか。いや、それなら俺の部屋に飾れば良い事か……だがそれだと大きさ的に入りきらない。……『ワシ像』のレプリカを小さくして飾るか?」
ボソボソと考えを口に出している伊佐奈。嫌な予感がしながらサカマタは意を決して口を挟んだ。
「館長、あの兎男は自分の作品は渡さないかと「サカマタ」
考えがまとまった伊佐奈は、ニッコリと笑いながらサカマタの言葉を遮った。
「とりあえず、小さいレプリカを作るにしても『ワシ像』が必要だから運んできてくれるか?」
「……でらわかりました」
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「絶対に嫌じゃ」
「レプリカを作るために一時的に貸し出すだけでいい。それも館内には飾らず館長室に飾るだけだ」
「それが一番嫌じゃ!!」
(2011/01/01)