小話

【お前には勿体無い】
(伊佐奈+スポンサー)


「あれ? 何でニンジンがあるの? しかもダンボールで?」

廊下に無造作に置かれたダンボールを指しての質問。
置きっ放しにした部下は誰だと、貼り付けた笑みの下で苛立った。

「お見苦しい所をお見せしました。……あれは飼っている兎用でして」
「ちょーウケる! 水族館なのに兎って!!」

何が可笑しいのか、上機嫌に言うスポンサー。
ひとしきり面白がり、次にその何も考えない頭で質問をしてきた。

「僕にもその兎触らせてくれる?」
「…………申し訳ありません。なにぶん凶暴な兎なので」
「兎が凶暴! チョーうけるね、キミ!!」

自分の願いが聞き入れられない事に対しても、笑いながら面白がるスポンサー。
そのまま何の疑問も抱かずに帰る姿を見送った後、貼り付けた笑みを嘲笑に変えた。


「誰が触らせるか」

end
(2010/11/17)
5/9ページ