小話

【帽子を深く被った不審者】
(伊佐奈+サカマタ)


「館長、でら怪しい人物が館内にいます」
「不審人物か、そんなものでも客には違いないだろ。だが、騒動を起こすようなら叩き出せ」

そんなものを一々報告するなと苛立ち紛れに伊佐奈は言い放った。

「…………」
「まだ何か用か?」
「いえ、警戒するように館内中に伝えておきます」

言い淀んだような物言いのサカマタが出て行った後、伊佐奈はため息をついた。

「不審人物、か……シャチもそれぐらいの事は対処できるはずだろ」

何が言いたかったんだと考えるが、集客率に響かなければ関係ないことかと締めくくった。

end
(2010/11/15)
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