小話

【部下の使い方】
(伊佐奈+サカマタ)


「サカマタ、椎名の好きな物は何だ」
「……見た目と同じくニンジンが「そんなものは知っている」

バッサリと言い放ち、苛立ち紛れに立ち上がった伊佐奈。
その様子に、サカマタは気圧されたように一歩後退りした。

「いいか、そんなものは知っているんだ。真っ先に知ったものでもある」

ザワッ、と嫌な空気が室内に満ち、伊佐奈の上着の後ろがゆっくりと変わっていくのが見えた。


「サカマタ、椎名が好きな物、望む物を探って来い」


ニッコリと、綺麗な又は、可愛らしいとさえ形容できる笑顔での命令。
それを断れるほど、後ろに控える尾を軽視できるはずもなかった。

end
(2010/11/06)
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