桔ザク
「まじかバーロー」
摩っても無い無精髭。
異様にスースーとする下。
そして、本来ならば自分で言うのもあれだが、逞しい胸板があったはずの……
「おいおい、ブルーベル並にペチャパイかよ」
少しだけ膨らんだ、残念な胸。
揉みしだいても片手サイズにとどまるAカップの小振りな胸。
女になったことよりも、酷く落胆した。
腰が細くなった事や、何か丸みを帯びた事は、この際どうでもいい、横に置いておく。
自分の顔を見て美人だと思うほど自惚れてもいない。
余すところなく鏡に映った自分の残念な胸を眺めながら思った。
男だった時の方が胸囲があったのではないのかと。
「ザクロ、起きていますか?」
丁寧なノック音と、扉の外から聞こえる桔梗の声に、鏡から視線を外し、早歩きで扉へと向かった。
「今開けるぜバーロー」
いつもの調子で扉を開けた後、そういえば上着を着るのを忘れたままだったなと思い出した。
「…………桔梗、か?」
「ハハンッ、やはり貴方もでしたか」
扉を開けた途端視界に入ってきたのは、豊満な胸。
それから、まさしく十人中十人が振り向く美女がいた。
「もしやと思ったのですが、的中していたようですね」
憂いげにため息をつく姿すら絵になる美女……もとい、桔梗。
顔はあまり変わっていないはずなのに、やけになまめかしく見えた。
「ハハン、どうしました?そんなに見つめてきて」
「いや……なんでもねーぜ」
元々女顔だったが、本当の女になったのかと言いたかったが、それを言ったが最後、数倍になってからかわれる。
「上着を着ないと、風邪をひいてしまいますよ……それから、目に毒ですね」
自分の上着を脱ぎこちらの肩へとかけ、前の合わせ目を閉じようとする桔梗。
礼を言う以前に、上着を脱いだ事によりさらに際立つ桔梗の胸を凝視してしまった。
「どうしました、ザクロ?」
「……何でお前の方がでかいんだバーロー」
身長も体格も、微妙な差ではあったが自分の方が勝っていた相手。
それが、普段の体ではないが、完膚無きまでの差を見せ付けられ、恨みがましく呟いた。
「ハハンッ、胸の事ですか? こんなもの重いだけですよ。肩が凝りそうで迷惑です」
「そう言いながら自分の胸を支えるように腕組みすんのはあれか? 見せ付けてんのか?」
「半分は当たりですね、残りの半分は実際に重いので支えています」
「厭味かバーロー」
確かに美人だと思うが、胸もでかく、街角で歩いていれば声をかけようとさえ思うが、こんな根性悪だったら絶対に相手にしない!!
若干背まで桔梗よりも低くなっているので睨み上げると、クスリと笑われた。
「ハハンッ、上目使いをしても、かわいらしいだけですよ?」
「誰がだ!!」
「小振りに整った胸も、良いものだと私は思いますよ」
「ッ!? バ、バーロォ! 何揉んでんだ!!」
爽やかな笑みを湛えながら触ってきた桔梗に、お前は変態かと怒鳴った。
「ハハン、折角ですから貝合わせでもしてみますか?」
「誰がやるかバーロー!!」
順応性
順応……し過ぎじゃねーか?
end
(2010/08/12)
摩っても無い無精髭。
異様にスースーとする下。
そして、本来ならば自分で言うのもあれだが、逞しい胸板があったはずの……
「おいおい、ブルーベル並にペチャパイかよ」
少しだけ膨らんだ、残念な胸。
揉みしだいても片手サイズにとどまるAカップの小振りな胸。
女になったことよりも、酷く落胆した。
腰が細くなった事や、何か丸みを帯びた事は、この際どうでもいい、横に置いておく。
自分の顔を見て美人だと思うほど自惚れてもいない。
余すところなく鏡に映った自分の残念な胸を眺めながら思った。
男だった時の方が胸囲があったのではないのかと。
「ザクロ、起きていますか?」
丁寧なノック音と、扉の外から聞こえる桔梗の声に、鏡から視線を外し、早歩きで扉へと向かった。
「今開けるぜバーロー」
いつもの調子で扉を開けた後、そういえば上着を着るのを忘れたままだったなと思い出した。
「…………桔梗、か?」
「ハハンッ、やはり貴方もでしたか」
扉を開けた途端視界に入ってきたのは、豊満な胸。
それから、まさしく十人中十人が振り向く美女がいた。
「もしやと思ったのですが、的中していたようですね」
憂いげにため息をつく姿すら絵になる美女……もとい、桔梗。
顔はあまり変わっていないはずなのに、やけになまめかしく見えた。
「ハハン、どうしました?そんなに見つめてきて」
「いや……なんでもねーぜ」
元々女顔だったが、本当の女になったのかと言いたかったが、それを言ったが最後、数倍になってからかわれる。
「上着を着ないと、風邪をひいてしまいますよ……それから、目に毒ですね」
自分の上着を脱ぎこちらの肩へとかけ、前の合わせ目を閉じようとする桔梗。
礼を言う以前に、上着を脱いだ事によりさらに際立つ桔梗の胸を凝視してしまった。
「どうしました、ザクロ?」
「……何でお前の方がでかいんだバーロー」
身長も体格も、微妙な差ではあったが自分の方が勝っていた相手。
それが、普段の体ではないが、完膚無きまでの差を見せ付けられ、恨みがましく呟いた。
「ハハンッ、胸の事ですか? こんなもの重いだけですよ。肩が凝りそうで迷惑です」
「そう言いながら自分の胸を支えるように腕組みすんのはあれか? 見せ付けてんのか?」
「半分は当たりですね、残りの半分は実際に重いので支えています」
「厭味かバーロー」
確かに美人だと思うが、胸もでかく、街角で歩いていれば声をかけようとさえ思うが、こんな根性悪だったら絶対に相手にしない!!
若干背まで桔梗よりも低くなっているので睨み上げると、クスリと笑われた。
「ハハンッ、上目使いをしても、かわいらしいだけですよ?」
「誰がだ!!」
「小振りに整った胸も、良いものだと私は思いますよ」
「ッ!? バ、バーロォ! 何揉んでんだ!!」
爽やかな笑みを湛えながら触ってきた桔梗に、お前は変態かと怒鳴った。
「ハハン、折角ですから貝合わせでもしてみますか?」
「誰がやるかバーロー!!」
順応性
順応……し過ぎじゃねーか?
end
(2010/08/12)