桔ザク
透き通るような白い肌、モデル並の長身、均等のとれた体。
手入れの行き届いた淡い色の髪、優しく笑みを湛えた口元。
多少胸が無いことを抜かせば、完璧な美女がいた。
「ザクロ君、これが真6弔花リーダーの桔梗チャンだよ。わからない事があれば桔梗チャンに聞いてね?」
先に紹介された自分より遥かに小さいガキ共と、訳のわからねー仮面被った奴……
まともな奴はいねーのかよと思った矢先の優しげな美女を前に、失礼は承知だが白蘭様の話が半分も頭に入ってこなかった。
凝視していた事に気がついたのか、軽く疑問を持った目がこちらを見て、それからフンワリと笑みを向けてきた。
「ハハン、初めまして、よろしくお願いします。ザクロ」
「お、おう……」
意外と低い声だった事に驚いたが、心臓が異様に速く鳴るのが煩く聞こえた。
「アハハ! ザクロ君素っ気ないね~」
「白蘭様、ザクロはまだ来たばかりなのですから、緊張して当たり前ですよ」
やんわりとフォローをする桔梗。
初めて会った時から、気がついたら桔梗の事ばかりを考え、目で追っていた……
「桔梗、好きだ」
唐突だったかもしれない。
だが、けして冗談事で言った訳ではない、ただ本気で好きだと思ったから言った。
驚いたように目を瞬かせた桔梗は、暫くの間ジッとこちらを見てきた。
「ハハン、まさか貴方から言うとは思いませんでした」
苦笑しながら呟く桔梗に、その口ぶりだと、まるで自分から言いたかったと言わんばかりに聞こえた。
勘違いかもしれないが、多少は期待しても良いのかと思った矢先に、桔梗が綺麗な笑みを向けてきた。
「私も、貴方の事が好きですよ、ザクロ」
「ほっ、本当かバーロー?」
「ええ、初めて会った時から、好きです」
「――ッ…!」
嬉しくて言葉も出ないと言うのは本当にあるらしい。
両思いだった事が解り、自分を見上げてくる桔梗を抱きしめた。
当然のなりゆきとして、互いに顔を近づけ……
「んんッ?!」
床へと押し倒された。
したたかに背を打って、痛がる暇も無く深い口づけが続いた。
さすがに積極的過ぎるだろと思いながら応えていると、桔梗の細く整った指が服の中に入ってきた。
「まッ、待てバーロォ! 何してんだ!?」
「ハハン、いけませんか? 貴方と繋がりたいと思ったのですが」
ストレート……此処まで直球で言い切れる人物がいたのかと軽く驚いた。
なおも撫でるように肌を這う桔梗の指にゾクリときながら、
男のプライドの問題としてリードされてばかりでは示しがつかないと、桔梗の腕を掴んだ。
「わかるけどなぁ。せめてベッドの上とかでやるもんだろバーロー?」
多少口元が引き攣ったのはしかたがないが、さとす様に口にすれば、桔梗が納得したように微笑んだ。
「ハハン、わかりました。意外と可愛らしいですね」
「はぁ?」
可愛らしいのは普通そっちだろと言いたかったが、二の句が継げなかった。
「では、お連れいたしましょうか」
横抱き、いわゆるお姫様抱っこってのを自分で体験するとは思わなかった。
人間、驚きすぎると意外と冷静になれるらしい……
「桔梗……逆じゃねぇか?」
「ハハン、何を言っているのですか?」
冷静なツッコミも軽く流された。
いや、理解できるかよ。誰が女に丁寧に抱き上げられると思うんだよ。
意外と逞しい腕でって……
「おッ、お前男かバーロー!?」
「ハハン、何を今更……ああ、私を女だと思っていたのですか?」
「げっ……」
千年の恋も一瞬で覚める事実、男だとわかってたら誰が告白なんてするもんか……
もっとも、今自分を抱き上げている桔梗は、始めから男だとわかった上で告白を受けた。
もしかしたら、自分はとんでもない事をしたのかもしれない。
「桔梗、さっきの言葉取り消――」
「ザクロ」
言葉を遮り優しく、それこそ、愛おしげに呼ばれた名前。
見つめてくる相手がこれほど恐ろしく感じた事は無かった。
「男に、二言は許されませんよ?」
勘違いから始まる恋?
そんなもの、あってたまるか!!
end
(2010/06/27)
手入れの行き届いた淡い色の髪、優しく笑みを湛えた口元。
多少胸が無いことを抜かせば、完璧な美女がいた。
「ザクロ君、これが真6弔花リーダーの桔梗チャンだよ。わからない事があれば桔梗チャンに聞いてね?」
先に紹介された自分より遥かに小さいガキ共と、訳のわからねー仮面被った奴……
まともな奴はいねーのかよと思った矢先の優しげな美女を前に、失礼は承知だが白蘭様の話が半分も頭に入ってこなかった。
凝視していた事に気がついたのか、軽く疑問を持った目がこちらを見て、それからフンワリと笑みを向けてきた。
「ハハン、初めまして、よろしくお願いします。ザクロ」
「お、おう……」
意外と低い声だった事に驚いたが、心臓が異様に速く鳴るのが煩く聞こえた。
「アハハ! ザクロ君素っ気ないね~」
「白蘭様、ザクロはまだ来たばかりなのですから、緊張して当たり前ですよ」
やんわりとフォローをする桔梗。
初めて会った時から、気がついたら桔梗の事ばかりを考え、目で追っていた……
「桔梗、好きだ」
唐突だったかもしれない。
だが、けして冗談事で言った訳ではない、ただ本気で好きだと思ったから言った。
驚いたように目を瞬かせた桔梗は、暫くの間ジッとこちらを見てきた。
「ハハン、まさか貴方から言うとは思いませんでした」
苦笑しながら呟く桔梗に、その口ぶりだと、まるで自分から言いたかったと言わんばかりに聞こえた。
勘違いかもしれないが、多少は期待しても良いのかと思った矢先に、桔梗が綺麗な笑みを向けてきた。
「私も、貴方の事が好きですよ、ザクロ」
「ほっ、本当かバーロー?」
「ええ、初めて会った時から、好きです」
「――ッ…!」
嬉しくて言葉も出ないと言うのは本当にあるらしい。
両思いだった事が解り、自分を見上げてくる桔梗を抱きしめた。
当然のなりゆきとして、互いに顔を近づけ……
「んんッ?!」
床へと押し倒された。
したたかに背を打って、痛がる暇も無く深い口づけが続いた。
さすがに積極的過ぎるだろと思いながら応えていると、桔梗の細く整った指が服の中に入ってきた。
「まッ、待てバーロォ! 何してんだ!?」
「ハハン、いけませんか? 貴方と繋がりたいと思ったのですが」
ストレート……此処まで直球で言い切れる人物がいたのかと軽く驚いた。
なおも撫でるように肌を這う桔梗の指にゾクリときながら、
男のプライドの問題としてリードされてばかりでは示しがつかないと、桔梗の腕を掴んだ。
「わかるけどなぁ。せめてベッドの上とかでやるもんだろバーロー?」
多少口元が引き攣ったのはしかたがないが、さとす様に口にすれば、桔梗が納得したように微笑んだ。
「ハハン、わかりました。意外と可愛らしいですね」
「はぁ?」
可愛らしいのは普通そっちだろと言いたかったが、二の句が継げなかった。
「では、お連れいたしましょうか」
横抱き、いわゆるお姫様抱っこってのを自分で体験するとは思わなかった。
人間、驚きすぎると意外と冷静になれるらしい……
「桔梗……逆じゃねぇか?」
「ハハン、何を言っているのですか?」
冷静なツッコミも軽く流された。
いや、理解できるかよ。誰が女に丁寧に抱き上げられると思うんだよ。
意外と逞しい腕でって……
「おッ、お前男かバーロー!?」
「ハハン、何を今更……ああ、私を女だと思っていたのですか?」
「げっ……」
千年の恋も一瞬で覚める事実、男だとわかってたら誰が告白なんてするもんか……
もっとも、今自分を抱き上げている桔梗は、始めから男だとわかった上で告白を受けた。
もしかしたら、自分はとんでもない事をしたのかもしれない。
「桔梗、さっきの言葉取り消――」
「ザクロ」
言葉を遮り優しく、それこそ、愛おしげに呼ばれた名前。
見つめてくる相手がこれほど恐ろしく感じた事は無かった。
「男に、二言は許されませんよ?」
勘違いから始まる恋?
そんなもの、あってたまるか!!
end
(2010/06/27)