桔ザク

君達って本当……可愛すぎて苛めたくなっちゃうね?

「ハハン、白蘭様、どうかなさいましたか?」

丁寧な口調で問いかけてくる桔梗チャン、僕が何で笑ってるのか疑問に思ったのかな。

「何でもないよ」

ニッコリと笑いかけながら返せば、同じように笑みを向けて、そうですか、と納得する単純な桔梗チャン。

本当、桔梗チャンて単純だよね。
好ましくはあるけどね?
忠実、従順、誠実、狂信、恋は盲目?

あ、最後のやっぱりなし、少し違ったね。

こんな素直な子、今どきいないよね、てぐらい僕の言うことを聞く桔梗チャンは。
ザクロ君との付き合いも順風満帆みたいで人生薔薇色?

少し色ボケしてるのかなってぐらいのザクロ君への入れ込みように。
きっと、仕事時の冷静で冷酷な態度しか見て無かったら爆笑してただろうね。

よかったねー桔梗チャン、盛大に祝福してあげるよ。
でも、あんまり仲いいところ振り撒きすぎると、意地悪したくなるからね?

知識としては知ってるけど。
毎日イチャついてるの見た日には、ザクロ君に意地悪しちゃうよ?

僕と正チャンがまだくっついてないのに、君達の仲のよさって何なんだろうねー?
君達がじれった過ぎてモヤモヤしてた自分が、バカみたいに見えるほどの現在の仲よしっぷり……

ねぇ、これって、あてつけかな?
次は僕の番だよ、僕と正チャンがくっつけるようにちゃんとサポートしてよ?
本当……正チャンだけは、どのパラレルワールドでも陥落できないんだ……

正攻法ばっかりだったのが敗因だったのかな?
いきなりの告白がダメだったのかな?

ちゃんと誕生日には正チャンの歳の数だけ赤い薔薇贈ったのに……
指輪片手にプロポーズしたのに……正チャンて鈍感だからなー、そんなところも可愛いんだけど。

「白蘭様」
「ん? どうしたの桔梗チャン?」
「入江正一との約束の時間が迫っています」

時計を見るとミルフィオーレの会議が間近に迫った時刻。

いけない、正チャンに時間にルーズなところ見せたら。
正チャンをデートに誘っても、待ち合わせに遅れそうで嫌だって言われちゃうね。

「じゃ、行って来るね」
「ハハン、お気をつけて」
「あ、そうだ桔梗チャン」
「何でしょうか白蘭様」
「今からロシア行って反乱しそうな組織、一人で潰してきて」
「…………ハハン、了解しました」

そんな顔しないでよ桔梗チャン。
いくらザクロ君と、この後デートがあったからって。
僕が正チャンとまだデートにも行けないの知ってるのに約束する君達がいけないんだよ?



約束事
これぐらいの意地悪は覚悟の上だよね?


end
(2010/05/12)
80/100ページ