桔ザク

すぐにダレて、大雑把で……
まったく、何故私はザクロの事が好きなのでしょうか?

「ああ? 何だバーロー、人の顔ジロジロと見やがって」
「ハハン、気にしないでください」

少し見ていただけで睨みつけてくるザクロに、本当に何故好きなのかと自問自答したくなった。
けっして愛想があるわけでも、気遣いができるわけでもなく。
女らしくもない…………もっとも、相手は男ですから女らしくないのは当たり前ですけど。
まして、自分は男色家なわけでもないので、男に興味を持つこともなかった。

「おい、桔梗……黙って凝視すんな、気が散って寝れねーだろ」
「ですから、気にしないでください」

やや不機嫌そうに苦情を言うザクロに断りを入れながら、頭の中では疑問が渦巻いていた。

「…………桔梗、テメェ言いたい事があんなら口で言えよ」

ヒクヒクと口元を痙攣させながら、額に青筋をたてて睨みつけてくるザクロ。
そんな様子すら、いとおしいと感じてくるのは、すでに末期症状なのでしょうか?

「ザクロ」
「あ゛あ゛? 何だバーロー、喧嘩なら買うぞ」

ドスの利いた声で短気にもマーレリングに炎をともすザクロを見つめながら。
結論の出ない疑問に終止符を打つために、自分の感情を素直に口にした。

「貴方のことが好きです」
「表出ろバーロォ! 脳みそ沸いてんのかテメー!!」



目は口ほどに
物は言わない。


end
(2010/04/12)
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