桔ザク
ただ当り散らす無能な上司。
取引先とは笑顔で媚びへつらいながら、貪る様に食事を口の中へと収めていく。
その隣で、笑顔を張り付かせながら。
見た目が綺麗に整われた物をナイフで切り分け、口の中へと運んだ。
ゆっくりと咀嚼し、飲み込む。
味が分かると言うことは、味覚がある事だと。
舌の上に残る飲み込んだ物の塩味によって理解する。
「とても美味しいです」
けれど、何も感じなかった。
味覚障害の症状は、砂を噛む様だとよく言われている。
では、これは何と言うのだろうか……
「バーロォ! それは俺のだろ!!」
「ニュ、除けてあるから、嫌いかと思って食べてあげただけでしょ!」
「何だと!」
「何よ!!」
綺麗に盛り付けられた料理を前に、お世辞にも行儀が良いとは言えない作法で。
目の前でザクロとブルーベルが食事をしている。
「桔梗……注意しなくて良いの?」
「ハハン、あまり煩く言っても身に付くものではありません」
不安そうに聞いてくるデイジーに、気にしないように、と返答してから。
目の前の騒動に苦笑しながら、自分の前に出されている料理をナイフで切り分け、口へと運んでいった。
「美味しいですね」
味のある食事
味を感じる事のできる食事
end
(2010/04/01)
万愚節の残り
取引先とは笑顔で媚びへつらいながら、貪る様に食事を口の中へと収めていく。
その隣で、笑顔を張り付かせながら。
見た目が綺麗に整われた物をナイフで切り分け、口の中へと運んだ。
ゆっくりと咀嚼し、飲み込む。
味が分かると言うことは、味覚がある事だと。
舌の上に残る飲み込んだ物の塩味によって理解する。
「とても美味しいです」
けれど、何も感じなかった。
味覚障害の症状は、砂を噛む様だとよく言われている。
では、これは何と言うのだろうか……
「バーロォ! それは俺のだろ!!」
「ニュ、除けてあるから、嫌いかと思って食べてあげただけでしょ!」
「何だと!」
「何よ!!」
綺麗に盛り付けられた料理を前に、お世辞にも行儀が良いとは言えない作法で。
目の前でザクロとブルーベルが食事をしている。
「桔梗……注意しなくて良いの?」
「ハハン、あまり煩く言っても身に付くものではありません」
不安そうに聞いてくるデイジーに、気にしないように、と返答してから。
目の前の騒動に苦笑しながら、自分の前に出されている料理をナイフで切り分け、口へと運んでいった。
「美味しいですね」
味のある食事
味を感じる事のできる食事
end
(2010/04/01)
万愚節の残り