桔ザク


「お前は雪の中が似合うなバーロー」

一面に銀世界が広がる中で、前を歩く桔梗を見ながらザクロが呟いた。

「ハハン、そうですか……貴方は似合いませんね」

ザクロの言葉に振り返り、桔梗は周りと見比べながら言った。

「そうか?」
「ええ、溶け合う事無く、個として存在するのは綺麗だとは思いますが、似合いませんよ」
「お前は溶け込みそうだなバーロー」

淡い色合いの桔梗を、ザクロは目を細めて眺めた。

「ハハン、では、貴方が繋ぎとめてくれますか?」

微笑をしながら雪の中にたたずむ桔梗に、本当に溶け込みそうなほど良く似合ってやがる、と呟いた。



雪の中
連れてかれそうなお前が恐い


end
(2010/04/01)
万愚節の残り
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