桔ザク

「ねぇ、桔梗はブルーベルのこと好き?」
「好きですよ」

見上げながら質問をすると、桔梗はいつものように微笑みながら答えてくれた。

「ザクロより?」
「ハハン、どうしたんですかブルーベル?」

苦笑しながらも桔梗は優しく見返してくれる。
たしかに、唐突すぎる質問だったとは思うけど、それは望んでいた返答ではない。
だから、もう一度質問した。

「ねぇ、答えて桔梗、ザクロよりブルーベルの方が好き?」
「ハハン、好きですよ」
「じゃあ、ブルーベルの方がザクロより大切?」
「それは……ザクロの方が大切ですね」
「……なんで?」

優しい笑みは変わらないのに、少し困ったようにブルーベルを見ながら答えた。
その答えに、自分で思っているよりも揺れた声でつぶやいてしまった。

「愛しているからです」

桔梗の言った一言は、胸の辺りを痛くした。
けれど、その表情は何よりも……きれいだった。



いじわるな人
惚れた弱みは残酷すぎる


end
(2010/04/01)
万愚節の残り
59/100ページ