桔ザク

銀紙に包まれた小さなお菓子を一つ手に取り。
ブルーベルは上機嫌でカサカサと音を立てながら丁寧に取り出し、口の中へと入れた。

「ニ゛ュッ!?」
「あ~? 何食ってんだバーロー」

部屋に戻って来たザクロは、悶絶しながらバタバタと手を動かしているブルーベルを見てのんきに声をかけた。

「……お前、これ食ったのか?」
「ニ゛ュ~ッ、見てないで助けなさいよ!!」
「そんだけ喋ることができんなら平気だろバーロー」
「口の中が苦いし、のどがあっつい!!」
「ウィスキーボンボンはまだ電波ちゃんには早かったな、ッイッテ!? 蹴るなバーロー!!」
「ブルーベルに変なもの食べさせないでよ!!」

ザクロを蹴り飛ばしたブルーベルは、舌を出して威嚇をしながら口直しを求めて走り出した。


「ハハン、こんな所へ置いておいた貴方が悪いのでは?」

一連の騒動を聞いた桔梗はクスクスと笑いながら、不貞腐れているザクロへと言った。

「バーロォ、意地汚く人のもんに手を出したのはブルーベルだろ」
「お酒が入っているものは、子供の手に届かない所へ置くのが大人の役目です」
「こんなもん、ただの砂糖菓子だろバーロー」

反省の色もなく、銀紙を乱雑に開けながら、口の中へと放り込むザクロを見て、桔梗は呆れながら軽くザクロの頭をはたいた。

「いってーなバーロー」
「蒸留酒は元々アルコール度数が高いものです、いくら少量でも注意を払うべきですよ?」

軽く説教をする様に言う桔梗を見て。
舌の上で砕けた砂糖衣を転がしながら、挑発するようにザクロは笑った。

「だったら、今すぐ処理すればいい話だろ?」
「……ハハン、悪酔いに気をつけなければいけませんね」



大人のお菓子
どう処理したかは、想像にお任せします


end
(2010/03/28)
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