桔ザク
口笛を吹きながら部屋に入って来たザクロに対して桔梗は問いかけた。
「ハハン、随分と上機嫌ですね?」
「今夜良い事があるからな」
桔梗がいる事に気が付いたザクロは、桔梗の向かいの椅子に座りながら、ニヤリと笑って言った。
「ハハンッ、どんな事ですか?」
「部下とオールで楽しむつもりだバーロー」
「……そうですか、今夜、オールで……ところでザクロ、貴方の部下は今何処にいますか?」
「あ? 何だバーロー、用があるなら直接伝えるぜ?」
珍しくも部下に命令が出たのかと思い、どうせ今夜会うのだからと続けるザクロに、
桔梗は微笑みながら、貴方の手を煩わせたくありませんから、と断りを入れた。
「たしか、待機室にいるはずだぜバーロー」
「わかりました、ではザクロ、今夜が楽しみですね」
「お、おう?」
何故桔梗が自分事のように言うのかが分からないままザクロは返事を返した。
そんなザクロを残して桔梗は歩き出した。
「あれっ、桔梗チャン何処に行くの?」
「ハハン、害虫駆除です」
「ふ~ん、そう……」
入れ違いで部屋に入って来た白蘭に、爽やかな笑みで答えた桔梗は早歩きで進んでいった。
「何かあったのザクロ君?」
「白蘭様、ミルフィオーレの方の会議だったんじゃ?」
「暇だから遊びに来たんだ、それより、桔梗チャンどうしたの?」
椅子に腰掛けながら不思議そうに聞いてくる白蘭に、逆に不思議そうに言葉を返した。
「さっきまで普通に話してましたが?」
「どんな話しだったの?」
「今夜、部下と夜通しで酒を飲みに行くことを言っただけですが」
「……どんな風に桔梗チャンに言ったのかな?」
「部下とオールで楽しむつもりだ、ですが?」
「ザクロ君……それ天然? ……はぁ、またAランクの部下を探さないといけないのかぁ、正チャンにバレずに集めるのって、結構骨折るんだけどなー」
「白蘭様? なに言ってるんですか?」
やれやれと言った調子で今後を考えて憂い気になる白蘭に、キョトンとした顔でザクロは首をかしげた。
「ザクロ君、桔梗チャンの性格、よく知ってるよね?」
「あいつの性格?……」
白蘭に忠実で、他者に対しては冷酷で。
爽やかな笑みになる時は大抵が怒っている時で。
怒っている時の原因は、大体が勘違いによる……
「……ッ!!」
サーッと血の気が引いてくるザクロを見て、白蘭はため息をついた。
「んー……今ならまだ間に合うと思うけど?」
「桔梗ッ、誤解だバーローォ!!」
叫びながら走り出すザクロ。
残された白蘭はマシュマロを指で遊びながら。
Aランクの部下がどの程度減るか、勘で予想しようかな、と考えていた。
勘違い……
止められるのは、ただ一人
end
(2010/03/24)
「ハハン、随分と上機嫌ですね?」
「今夜良い事があるからな」
桔梗がいる事に気が付いたザクロは、桔梗の向かいの椅子に座りながら、ニヤリと笑って言った。
「ハハンッ、どんな事ですか?」
「部下とオールで楽しむつもりだバーロー」
「……そうですか、今夜、オールで……ところでザクロ、貴方の部下は今何処にいますか?」
「あ? 何だバーロー、用があるなら直接伝えるぜ?」
珍しくも部下に命令が出たのかと思い、どうせ今夜会うのだからと続けるザクロに、
桔梗は微笑みながら、貴方の手を煩わせたくありませんから、と断りを入れた。
「たしか、待機室にいるはずだぜバーロー」
「わかりました、ではザクロ、今夜が楽しみですね」
「お、おう?」
何故桔梗が自分事のように言うのかが分からないままザクロは返事を返した。
そんなザクロを残して桔梗は歩き出した。
「あれっ、桔梗チャン何処に行くの?」
「ハハン、害虫駆除です」
「ふ~ん、そう……」
入れ違いで部屋に入って来た白蘭に、爽やかな笑みで答えた桔梗は早歩きで進んでいった。
「何かあったのザクロ君?」
「白蘭様、ミルフィオーレの方の会議だったんじゃ?」
「暇だから遊びに来たんだ、それより、桔梗チャンどうしたの?」
椅子に腰掛けながら不思議そうに聞いてくる白蘭に、逆に不思議そうに言葉を返した。
「さっきまで普通に話してましたが?」
「どんな話しだったの?」
「今夜、部下と夜通しで酒を飲みに行くことを言っただけですが」
「……どんな風に桔梗チャンに言ったのかな?」
「部下とオールで楽しむつもりだ、ですが?」
「ザクロ君……それ天然? ……はぁ、またAランクの部下を探さないといけないのかぁ、正チャンにバレずに集めるのって、結構骨折るんだけどなー」
「白蘭様? なに言ってるんですか?」
やれやれと言った調子で今後を考えて憂い気になる白蘭に、キョトンとした顔でザクロは首をかしげた。
「ザクロ君、桔梗チャンの性格、よく知ってるよね?」
「あいつの性格?……」
白蘭に忠実で、他者に対しては冷酷で。
爽やかな笑みになる時は大抵が怒っている時で。
怒っている時の原因は、大体が勘違いによる……
「……ッ!!」
サーッと血の気が引いてくるザクロを見て、白蘭はため息をついた。
「んー……今ならまだ間に合うと思うけど?」
「桔梗ッ、誤解だバーローォ!!」
叫びながら走り出すザクロ。
残された白蘭はマシュマロを指で遊びながら。
Aランクの部下がどの程度減るか、勘で予想しようかな、と考えていた。
勘違い……
止められるのは、ただ一人
end
(2010/03/24)