桔ザク

「動きたくねーぜバーロー……」

ダルそうに腕へ顔を埋めながらザクロは呟いた。

「ハハン、貴方が誘った事ですよ?」

乱れた紅い髪から恨めしげに見上げてくるザクロに苦笑しながら。
ギシリとベッドを軋ませながら桔梗は手をついた。

「私を誘惑して、もっと、と促したのは、貴方です」

確認するように囁き、乱れて紅い瞳を隠す髪を指でソッと除けた。

「違いますか、ザクロ?」

クスクスと笑いながら、指先に紅い髪を絡ませ、もてあそぶ様に感触を楽しんだ。

「欲しかったんだから仕方ねーだろバーロー」

口元を上げながら言われた言葉に、指を止め髪を放した。

「ハハン、貴方は麻薬のような人ですね」
「なんなら、もう一回するか?」
「先ほどまで動きたくないと言ったのは誰でしたか?」

呆れたように問い返す桔梗に、ゆっくりと顔を上げ。
ザクロは桔梗を見ながら、からかう様に口を開いた。

「だったら、その目は何だバーロー」
「おや、そんなに物欲しそうな目をしていましたか?」
「始めからな」

ザクロの言葉を聞いた桔梗は、見上げてくる相手の肩に手をかけ。
向き合う体勢にし、目を細めながら見下ろした。

「ハハンッ、それは貴方もですよ」
「バーロー、わかってんなら早くしろ」
「我儘な方ですね」



誘い文句
ストレートな言葉で


end
(2010/03/21)
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