桔ザク

「忘れ草を吸って、何を忘れるつもりですか?」
「あ?」

煙がゆっくりと上る様子を見下ろしながら、桔梗は手を伸ばしザクロの持っていた煙草を取り上げた。

「何すんだバーロー」
「ハハン、害ですから」

まだ吸い始めたばかりの煙草を取られ、ザクロは桔梗へと抗議をするが。
淡々と煙草を握り潰されながら返答された。

「たまには良いだろ、つーか忘れ草ってのは何だバーロー?」
「煙草の異称ですよ、吸えば憂いを忘れる事からだそうです」
「ちょうど良いじゃねーか」
「ハハン、憂いなら私がいくらでも埋めて差し上げますよ」

こんな物に頼らなくとも、と握り潰した煙草を床へと落としながら桔梗は呟いた。



忘れ草
舌に残る苦い味


end
(2010/03/18)
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