桔ザク

「寒いったらねーなバーロー」
「ハハン、随分と予報が外れたものですね」

部屋の中へと入って来た二人は、自分の服についた雪を払っていった。

「ブルーベル達は寝てんのか?」
「今を何時だと思っているんですか? 夜中ですよ」
「まぁ、それもそうかバーロー」

髪についた雪が溶け、水滴となったものを頭を振りながら落としていくザクロは。
桔梗の言葉に口もとを上げながら答えた。


「……ザクロ」
「あ?」

桔梗の声に振り向こうとすると、後ろから抱きしめられた。

「バーロー、何してんだ?」
「ハハン、貴方は寒いのが苦手だったと思いましたが?」

冷たい体を押し当てられて、どうしろってんだ、と呆れながらため息をついた。

「お前が、だろ?」
「ハハン、そうでしたね」
「ッ……おい! 手突っ込むな!! 自分の体であっためてろバーロー!!」

服の中に入って来た手に、ビクリと反応しながらザクロは怒鳴った。

「ザクロ、あたためて頂けませんか……貴方の肌で」

耳もとで囁く桔梗に。
一瞬抵抗を止めたザクロは、ため息をつき舌打ちをしてから。
服の中へ入っていた桔梗の手を引きずり出した。

「バーロぉ……俺があたたまらねぇだろ」
「ハハン、では一緒にあたたまりましょう」

振り返ったザクロを見て、桔梗は微笑みながら軽くキスをして。
ゆっくりと押し倒していった。



雪道の後
あたためあうのも、また一興


end
(2010/03/16)
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