桔ザク

「汚らわしいですね」

情事後の香りを隠そうともせず、だらけるザクロに向かい冷笑をしながらつぶやいた。

「何だ? 潔癖主義者かよテメーは」
「ハハン、そんなものでなくとも、今の貴方は十分に見るに耐えませんよ」
「気にしなければいいだろバーロー」

気だるげに髪を掻き揚げ、さも鬱陶しげに見返してくるザクロに、たまらなく苛立つ。

「滑稽ですね、部下と火遊びを繰り返す姿は……白蘭様も何故貴方のような人物を真6弔花に入れたのか、私には理解しがたいですよ」
「チッ、テメーもその御綺麗な顔のとおりに、女役でもしてんだろバー、ッ!?」

パシリと乾いた音が響き。
気が付けば、ひどく自分の手が痛かった。
ザクロを見ると、片方だけ頬に赤みがさしていた。

「一緒にしないで頂けますか?」
「何しやがんだバーロッ!!」
「ハハン、失礼、ですが、殴らなかっただけ感謝してください」

燃えるような紅い瞳で睨みつけてくるザクロを見ながら、理解しがたい感情が湧き立ってくる。
怒らせて当然の事を言った、そう頭では理解するが、投げかける言葉には棘が付く。

「そんなに、火遊びがお好きなら、今度は私が相手をしましょうか?」

不快だった、他人がどうなろうと関係ないと思っていたのに、目の前の人物だけは自分を掻き乱す。

「節操なしの貴方でも、少しは慎む様に調教して差し上げますよ?」
「願い下げするぜ、バーロー」



不快さの意味
その理由は、まだ知らない


end
(2010/02/28)
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