桔ザク

「桔梗……いつまで抱きついてんだよバーロー」

抱きしめられたままの格好で固まっていたザクロは、いつまで経っても離そうとしない桔梗に聞いた。

「ハハン、つれない人ですね、せっかく、逢瀬を楽しんでいると言うのに」
「お前だけだろバーロー」

呆れながらつぶやいたザクロは、自分と桔梗との間に温度差があるように感じた。

「私のことが、お嫌いですか?」

呆れながらの言葉にも動じず、やんわりと聞き返してくる桔梗。
冷たい笑みではなく、柔らかく優しい笑みを向けられ、どうにも、いたたまれなくなる。

「……好きだぜ、バーロー」

はたして、自分は桔梗が向けてくる想いに、半分も返しているのかと疑問に思った。
作り物めいた顔に笑みをのせ、丁寧な口調で時に冷酷にさえ見える桔梗は。
ひどく、ストレートに愛情表現をする。
桔梗のことが嫌いなわけでは無いが、向けられる想いに気後れする。

「ハハン、私も好きですよ、たとえ、貴方がつれなくても」

嬉しそうに笑みを向け、キスをしてくる桔梗に。
まあ、別にどうでもいい事かと思えてきたザクロは。
桔梗のやりたいように身を任せた。



温度差はあるけれど
好きである事にはかわりなく


end
(2010/02/27)
れん様リク『桔ザクで甘』
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