桔ザク

抵抗できないよう手首を後ろ手に縛り。
獣のような体制で交わる。
不実の痕をつけてきた貴方には、お似合いですね、と、ほの暗い炎がともる心の中でつぶやいた。

「桔……梗ッ」
「何ですか? ザクロ」
「やめ…ろっ」

ろくな思考も無い状態でさえ、睨みつけてくる姿は、くすぶる炎を煽り立てるだけだった。

「ハハン、駄目に決まっているでしょう? 私を怒らせた罰ですよ」
「ッ……!!」

ガクリとベッドへと突っ伏す体を、無理矢理引き寄せ奥へとおし進める。

「こんな痕をつけてきて……本当に、油断できませんね」

支えないと崩れ落ちそうな体を、冷静に見下ろしながら囁く。

「そんなに、私だけでは満足できませんか? それでしたら、そんな気さえ起きないように、もっと遊んで差し上げましょうか?」

白い液体が透明になって出なくなるまで……

「やめ……桔梗ッ」
「ハハンッ、可愛らしいですね」

耐え切れないかのように身をよじり。
切なげに声を出す姿さえ、いとおしいと感じるのに。
その首筋へと色づく一点の朱が、そんな想いを砕く。

「今、私以外の名を呼んだらどうなるか、分かっていますね……ザクロ?」

擦過傷により血がにじむ手首や、しなる背を見ながら確認するように問いかける。

「ハハン、もう聞こえていませんね」

とめどなく紡がれる声。
涙が零れ落ちる瞳は、ろくに周囲を映していなかった。


「教えてあげますよ、ザクロ、貴方が誰のものであるか……」



何度でも
その、不実の痕が消えるまで


end
(2010/02/19)
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