桔ザク

「好きだぜバーロー」
「ハハン、本当ですか?」
「あぁ、髪だけな」

背を向けていた桔梗に向かって平然と言うザクロ。
髪留めを外し髪を背に流した桔梗はため息をつきながら問い返した。

「髪だけですか?」
「あー、顔もまあ好きだぜ、女みてぇで」
「嬉しくありませんよ」

冗談なのか本気なのか、よく分からない口調で言うザクロに近づき。
至近距離でその瞳を覗きこみ、顔に手を添える。

「私は貴方の全てが好きですよ」
「うそくせーよバーロー」
「ハハン、だらしの無いところも、無気力なところも、無精髭も好きですよ」
「嫌なところだけ言ってねぇか?」
「気のせいですよ、ところで、貴方が好きなのは私の髪や女の様な顔だけですか?」
「……嘘に決まってんだろ」



本当は全部
「嫌いだバーロー」
「ハハン、素直ではありませんね」


end
(2010/02/16)
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