桔ザク
(注:この話は、真6弔花の四人が、もしその後ボンゴレの傘下に入ったら、と言う設定で書いています。)
「あらぁ? スクアーロは何処行っちゃったのかしら?」
「しししっ、何か癒し求めに行くって言ったきり帰ってこねーでやんの」
ルッスーリアの言葉に反応したベルは至極嬉しそうに、このまま帰ってくんなよなー、と続けた。
「それはあれですね、ミーの情報によると、スクアーロ隊長は新しく傘下に入ったところに行ってますー」
「……何でお前が知ってんだよ」
「痛いですよ、ベルセンパ~イ」
ドスリとカエルの被り物にナイフを突き立てられたフランだったが、言葉だけ痛がっているようで、表情はまったく変わっていなかった。
「新しく傘下に入った、って言ったら、あの真6弔花? あんな所に癒しなんてあったかしら?」
「どーも、その真6弔花にいる紅髪の嵐の人が目当てらしいですー、ベル先輩と違って、寝首を掻こうとしないところが気に入ってるんじゃないですかー?」
「一々煩いんだよ、お前」
「酷いですよベル先輩、そう何回もナイフ投げつけなくても自己主張ぐらいできてますよー」
「ハハン、ザクロ、何ですかソレは?」
「……ヴァリアーの一人だろ?」
「ではなく、何故ソレが貴方を横抱きにしているかの問題です」
「う゛お゛ぉい! 何だ羨ましいのかぁ?」
ザクロを自分の膝に乗せていたスクアーロは、自慢げに桔梗を見る。
「ハハン、不愉快です、今すぐその汚い手を離さないと殺しますよ?」
「上等だ! やれるもんなら、やってみろ!!」
スクアーロの言葉に一瞬眉を寄せた桔梗は、匣兵器のツルでザクロを捕らえ引き寄せた。
「いでっ!?」
勿論、スクアーロへの攻撃も忘れずに。
「いてーだろ、バーロー」
強引に引き寄せられ、手首などに痣が付いたザクロは、赤くなった部分を摩りながら桔梗を軽く睨む。
「ハハン、私以外の腕の中にいるからですよ」
「う゛お゛ぉい! テメー何しやがんだ!!」
「汚い手から救ったまでですよ」
ザクロを自分の腕の中に収めつつ、桔梗はスクアーロを見下した目で眺める。
「何だと!!」
バチバチと火花が散る中、その話の中心となっているはずのザクロは明後日の方向を向きつつ、めんどくせーなと思っていた。
「こうなれば、一騎打ちと行こうじゃねぇか!!」
「ハハン、野蛮ですね、ですが、貴方の存在には、ほとほと嫌気がさしています……なので、お相手いたしましょう」
ザクロをソファに丁寧に降ろしながら、スクアーロと対峙する桔梗。
「後悔してもおせぇぞ!」
「その言葉、そっくりお返ししますよ」
互いにリングに炎を灯し、戦闘態勢に入る二人、蚊帳の外となっていたザクロはつまらなそうにソファの上で横になった。
「おー、やれやれバーロー」
如何にも気だるげに応援するザクロの前で、スクアーロと桔梗は匣を開匣した。
「ニュニュ~、何やってるの?」
横になっていたザクロの上に飛び乗りながらブルーベルは聞いてきた。
「バーロー、重いんだよ太ったか?」
「何よ! 太ってないわよ!! 仮に体重が増えても筋肉が付いたからよ!!」
「あ~、うるせーなー」
ブルーベルの高い声に、耳を塞ぎながらザクロはつぶやいた。
「ぼばっ……何で桔梗が戦ってるの?」
ブルーベルよりやや遅れて部屋の中に入って来たデイジーは、目の前の状況に驚きながらザクロへと質問した。
「何でって言われてもなぁ……何でだバーロー?」
「ププー! ザクロ知らないの~?」
「知るかバーロー、勝手に始めたんだよ」
腹の上にいるブルーベルを支えながらザクロは適当に答えた。
「…………絶対違うと思うな……」
一人疑問に思うデイジーは正しかった。
「スクアーロ~! いい加減に戻ってこないと、ボスがキレるわよ~!」
高い声を出しながら入って来たのはルッスーリア、その後からゾロゾロとベルやフランも入って来た。
「ししっ、マジでやり合ってるし」
「男の嫉妬は見苦しーですねー」
「スクア~ロ~! 聞いてるの~!?」
「うるっせぇぞ、ルッスーリア!! 今決着つけてんだから邪魔するな!!」
「んもぉ、しょうがない子ね~、後でボスに怒られても知らないわよ~!!」
大声で忠告をしたルッスーリアは、はたと近くにいたザクロ達を見つけた。
「あらん、良い体つきね?」
「あ?」
くねくねとした足取りで近づくルッスーリアの目には、ブルーベルやデイジーは映っていなかった。
「ん~! 確かにスクアーロがご執心なのも分かるわ~、貴方、抱き心地良さそうねv」
そっとザクロの体を撫でようとするルッスーリア。
「何よ、其処のオカマ! ザクロに触ったら只じゃ済まないわよ!!」
明らかに危険な気配のするルッスーリアの手を叩きブルーベルは、ザクロの上から睨みつける。
「なぁに? このちびっ子ちゃんは?」
「レディーに対して失礼よ! そのモヒカン剃るぞ!!」
「ま~恐いわ~、暴力的ね」
一旦手を引いたルッスーリアだったが、その目は舐める様にザクロの体を眺めていた。
「嫌らしいのよ、このサングラスオカマ!!」
ザクロの上から飛び降りたブルーベルは、その手に雨の炎を纏わりつかせルッスーリアに向かって振り下ろした。
「キャッ! 何するのよ」
「今度は不能にしてやる!!」
「んまぁ! 嫌ねぇ、でも、私も負けてないわよ?」
ブルーベルの攻撃を難なくかわしたルッスーリアは余裕の表情で、自分のリングに晴れの炎をともした。
「ヒュー、やるじゃん、新部隊のちびっ子も」
目の前で繰り広げられる、ルッスーリアとブルーベルの戦いを見ながら感想を漏らす。
「で、そっちがスクアーロのお気に入り?」
飄々とした様子でソファの後ろからザクロを覗き込む。
「バーロー、ヴァリアーの嵐の奴か?」
「ししっ、覚えてるなんて王子感激~」
覗き込んできたベルの顔を振り向きながらザクロは見上げた。
「どお? 王子の嫁になんない?」
「はぁ?」
見上げてきたザクロの顔に手を添え近づいていくベル。
「んっ?」
その間を、紐で巻かれた手がさえぎる。
「ザクロに手を出すなら……ゆるさない、から」
「何お前、超なまいき~」
静かな火花がデイジーとベルの間で交わされる。
「ベルセンパ~イ、頑張ってくださーい、ついでに、そのまま共倒れしてくださーい」
後ろから煽るように応援するフラン、その被り物にナイフを付き立てながら、ベルはデイジーを見据える。
「子供だからって、容赦しないから、俺」
「センパ~イ、大人気ないですー」
茶々を入れてくるフランにもう一度ナイフを投げつけてから、ベルはその手に何十本ものナイフを構える。
デイジーは無言のまま、リングに炎を灯した。
「あーあ、ベル先輩も戦っちゃいましたねー」
ザクロの近くに座り込みながら、フランは呆れたようにつぶやいた。
「あ、ミーは何もしませんから、気にしないでくださーい」
「そーかよバーロー」
興味ないとばかりにフランから視線を外したザクロは、目の前で壮大な被害を出している戦いを眺め始めた。
その近くでフランは、ただ座っていた。
「何事だ! この騒ぎは!」
「あ、レヴィさん、そんなに怒鳴らなくても聞こえてますよー」
「おお、フランか、ボスが少し机をなげてきてな」
「あー、八つ当たりから逃げてきたんですねー」
ズカズカと入って来たレヴィはフランの言葉に、わずかに顔をしかめ、言い返そうと口を開こうとした。
「あ? なんだバーロー?」
ジッと凝視されていることに気が付いたザクロは、眉をわずかに寄せながらレヴィを見上げた。
「…………艶麗だ」
ポッと頬を赤く染めながらレヴィはつぶやいた。
「すみませ~ん、レヴィさんがキモイこと言ってますー、ついでに、何か鼻息が荒くなってるんですけどー」
「う゛ぉ゛おい! 何顔近づけてんだ、そこの変態!!」
「ハハンッ、何をしようとしているんですか?」
「ぐふぉぉ!!」
スクアーロの膝蹴りを受け、体を折り曲げたまま宙に浮いたレヴィを、桔梗が匣兵器で追討ちをかける。
「うわ~、何かこーゆー時だけ、息ピッタリですよねー」
一瞬だけ連携プレイらしきものを見せたスクアーロと桔梗だったが。
レヴィが気絶した事を確かめた後は、早々に睨み合い、間合いをとった。
「油断も隙もありませんね、貴方達は見境の無い獣ですか?」
「あれと俺を一緒にするな!!」
「ハハン、しつこく付き纏う様子は同じように見えますが?」
「誰がしつこいだ! 俺はただ癒しが欲しいだけだ!!」
「癒し? 日頃からストレスを受けているとも思えない貴方に、必要ですか?」
馬鹿にした様に、苦笑しながら見下す桔梗。
その様子に、ブチリと血管の切れるスクアーロ。
「何だとテメー!! 俺がどれだけのストレスを受けてるか知らねーから言えるんだよ!!」
「ハハン、ストレスを理由にザクロへと抱きつく口実にしか聞こえませんよ」
スクアーロの剣を避けながら、桔梗は匣兵器で攻撃を繰り出す。
「何だとテメー!!」
飛ばされてきたモノを、剣で全て切りさばきながらスクアーロは距離を縮める。
互いに一歩も引かない応戦が続く。
周りが攻撃の余波によって破壊されていく中、ザクロのいる周辺だけ無傷で残っていた。
「つーか、あいつら何で戦ってるんだバーロー」
「話の中心人物がソレを言ったら、身も蓋もありませんよー」
「…………で、どう言う事か説明してもらえるかな?」
ニッコリと微笑むのはボンゴレ十代目。
「屋敷一つ壊滅させるまでなら、まぁ分かるよ、今までもあったからね……でも、近隣一帯、草一本生えてない荒地ってどう言うことかな?」
爽やかな笑みに反して、その後ろにはどす黒い空気が漂っていた。
「XANXUSが出てこなかっただけ、まだマシだろうけどね……とりあえず、一週間、ザクロを俺が預かるから」
「う゛お゛ぉい! どう言うことだクソガキ!!」
机を叩き割る勢いで抗議するスクアーロを、呆れた目で見ながらツナはため息をついた。
「くだらない事で一々被害出さないでよね、癒しが欲しいのはこっちの方なんだよ?」
「ハハン、私も納得がいきませんよ、ボンゴレX世、本を正せばヴァリアー側の過失です」
「一番の被害を出したのは真6弔花だからね? それと、喧嘩を買ったのは君でしょ、桔梗?」
「…………」
一番の役得者は
誰でしょうか?
『獄寺君や山本がいない間に助手が来てよかったなー』
end
(2010/02/04)
「あらぁ? スクアーロは何処行っちゃったのかしら?」
「しししっ、何か癒し求めに行くって言ったきり帰ってこねーでやんの」
ルッスーリアの言葉に反応したベルは至極嬉しそうに、このまま帰ってくんなよなー、と続けた。
「それはあれですね、ミーの情報によると、スクアーロ隊長は新しく傘下に入ったところに行ってますー」
「……何でお前が知ってんだよ」
「痛いですよ、ベルセンパ~イ」
ドスリとカエルの被り物にナイフを突き立てられたフランだったが、言葉だけ痛がっているようで、表情はまったく変わっていなかった。
「新しく傘下に入った、って言ったら、あの真6弔花? あんな所に癒しなんてあったかしら?」
「どーも、その真6弔花にいる紅髪の嵐の人が目当てらしいですー、ベル先輩と違って、寝首を掻こうとしないところが気に入ってるんじゃないですかー?」
「一々煩いんだよ、お前」
「酷いですよベル先輩、そう何回もナイフ投げつけなくても自己主張ぐらいできてますよー」
「ハハン、ザクロ、何ですかソレは?」
「……ヴァリアーの一人だろ?」
「ではなく、何故ソレが貴方を横抱きにしているかの問題です」
「う゛お゛ぉい! 何だ羨ましいのかぁ?」
ザクロを自分の膝に乗せていたスクアーロは、自慢げに桔梗を見る。
「ハハン、不愉快です、今すぐその汚い手を離さないと殺しますよ?」
「上等だ! やれるもんなら、やってみろ!!」
スクアーロの言葉に一瞬眉を寄せた桔梗は、匣兵器のツルでザクロを捕らえ引き寄せた。
「いでっ!?」
勿論、スクアーロへの攻撃も忘れずに。
「いてーだろ、バーロー」
強引に引き寄せられ、手首などに痣が付いたザクロは、赤くなった部分を摩りながら桔梗を軽く睨む。
「ハハン、私以外の腕の中にいるからですよ」
「う゛お゛ぉい! テメー何しやがんだ!!」
「汚い手から救ったまでですよ」
ザクロを自分の腕の中に収めつつ、桔梗はスクアーロを見下した目で眺める。
「何だと!!」
バチバチと火花が散る中、その話の中心となっているはずのザクロは明後日の方向を向きつつ、めんどくせーなと思っていた。
「こうなれば、一騎打ちと行こうじゃねぇか!!」
「ハハン、野蛮ですね、ですが、貴方の存在には、ほとほと嫌気がさしています……なので、お相手いたしましょう」
ザクロをソファに丁寧に降ろしながら、スクアーロと対峙する桔梗。
「後悔してもおせぇぞ!」
「その言葉、そっくりお返ししますよ」
互いにリングに炎を灯し、戦闘態勢に入る二人、蚊帳の外となっていたザクロはつまらなそうにソファの上で横になった。
「おー、やれやれバーロー」
如何にも気だるげに応援するザクロの前で、スクアーロと桔梗は匣を開匣した。
「ニュニュ~、何やってるの?」
横になっていたザクロの上に飛び乗りながらブルーベルは聞いてきた。
「バーロー、重いんだよ太ったか?」
「何よ! 太ってないわよ!! 仮に体重が増えても筋肉が付いたからよ!!」
「あ~、うるせーなー」
ブルーベルの高い声に、耳を塞ぎながらザクロはつぶやいた。
「ぼばっ……何で桔梗が戦ってるの?」
ブルーベルよりやや遅れて部屋の中に入って来たデイジーは、目の前の状況に驚きながらザクロへと質問した。
「何でって言われてもなぁ……何でだバーロー?」
「ププー! ザクロ知らないの~?」
「知るかバーロー、勝手に始めたんだよ」
腹の上にいるブルーベルを支えながらザクロは適当に答えた。
「…………絶対違うと思うな……」
一人疑問に思うデイジーは正しかった。
「スクアーロ~! いい加減に戻ってこないと、ボスがキレるわよ~!」
高い声を出しながら入って来たのはルッスーリア、その後からゾロゾロとベルやフランも入って来た。
「ししっ、マジでやり合ってるし」
「男の嫉妬は見苦しーですねー」
「スクア~ロ~! 聞いてるの~!?」
「うるっせぇぞ、ルッスーリア!! 今決着つけてんだから邪魔するな!!」
「んもぉ、しょうがない子ね~、後でボスに怒られても知らないわよ~!!」
大声で忠告をしたルッスーリアは、はたと近くにいたザクロ達を見つけた。
「あらん、良い体つきね?」
「あ?」
くねくねとした足取りで近づくルッスーリアの目には、ブルーベルやデイジーは映っていなかった。
「ん~! 確かにスクアーロがご執心なのも分かるわ~、貴方、抱き心地良さそうねv」
そっとザクロの体を撫でようとするルッスーリア。
「何よ、其処のオカマ! ザクロに触ったら只じゃ済まないわよ!!」
明らかに危険な気配のするルッスーリアの手を叩きブルーベルは、ザクロの上から睨みつける。
「なぁに? このちびっ子ちゃんは?」
「レディーに対して失礼よ! そのモヒカン剃るぞ!!」
「ま~恐いわ~、暴力的ね」
一旦手を引いたルッスーリアだったが、その目は舐める様にザクロの体を眺めていた。
「嫌らしいのよ、このサングラスオカマ!!」
ザクロの上から飛び降りたブルーベルは、その手に雨の炎を纏わりつかせルッスーリアに向かって振り下ろした。
「キャッ! 何するのよ」
「今度は不能にしてやる!!」
「んまぁ! 嫌ねぇ、でも、私も負けてないわよ?」
ブルーベルの攻撃を難なくかわしたルッスーリアは余裕の表情で、自分のリングに晴れの炎をともした。
「ヒュー、やるじゃん、新部隊のちびっ子も」
目の前で繰り広げられる、ルッスーリアとブルーベルの戦いを見ながら感想を漏らす。
「で、そっちがスクアーロのお気に入り?」
飄々とした様子でソファの後ろからザクロを覗き込む。
「バーロー、ヴァリアーの嵐の奴か?」
「ししっ、覚えてるなんて王子感激~」
覗き込んできたベルの顔を振り向きながらザクロは見上げた。
「どお? 王子の嫁になんない?」
「はぁ?」
見上げてきたザクロの顔に手を添え近づいていくベル。
「んっ?」
その間を、紐で巻かれた手がさえぎる。
「ザクロに手を出すなら……ゆるさない、から」
「何お前、超なまいき~」
静かな火花がデイジーとベルの間で交わされる。
「ベルセンパ~イ、頑張ってくださーい、ついでに、そのまま共倒れしてくださーい」
後ろから煽るように応援するフラン、その被り物にナイフを付き立てながら、ベルはデイジーを見据える。
「子供だからって、容赦しないから、俺」
「センパ~イ、大人気ないですー」
茶々を入れてくるフランにもう一度ナイフを投げつけてから、ベルはその手に何十本ものナイフを構える。
デイジーは無言のまま、リングに炎を灯した。
「あーあ、ベル先輩も戦っちゃいましたねー」
ザクロの近くに座り込みながら、フランは呆れたようにつぶやいた。
「あ、ミーは何もしませんから、気にしないでくださーい」
「そーかよバーロー」
興味ないとばかりにフランから視線を外したザクロは、目の前で壮大な被害を出している戦いを眺め始めた。
その近くでフランは、ただ座っていた。
「何事だ! この騒ぎは!」
「あ、レヴィさん、そんなに怒鳴らなくても聞こえてますよー」
「おお、フランか、ボスが少し机をなげてきてな」
「あー、八つ当たりから逃げてきたんですねー」
ズカズカと入って来たレヴィはフランの言葉に、わずかに顔をしかめ、言い返そうと口を開こうとした。
「あ? なんだバーロー?」
ジッと凝視されていることに気が付いたザクロは、眉をわずかに寄せながらレヴィを見上げた。
「…………艶麗だ」
ポッと頬を赤く染めながらレヴィはつぶやいた。
「すみませ~ん、レヴィさんがキモイこと言ってますー、ついでに、何か鼻息が荒くなってるんですけどー」
「う゛ぉ゛おい! 何顔近づけてんだ、そこの変態!!」
「ハハンッ、何をしようとしているんですか?」
「ぐふぉぉ!!」
スクアーロの膝蹴りを受け、体を折り曲げたまま宙に浮いたレヴィを、桔梗が匣兵器で追討ちをかける。
「うわ~、何かこーゆー時だけ、息ピッタリですよねー」
一瞬だけ連携プレイらしきものを見せたスクアーロと桔梗だったが。
レヴィが気絶した事を確かめた後は、早々に睨み合い、間合いをとった。
「油断も隙もありませんね、貴方達は見境の無い獣ですか?」
「あれと俺を一緒にするな!!」
「ハハン、しつこく付き纏う様子は同じように見えますが?」
「誰がしつこいだ! 俺はただ癒しが欲しいだけだ!!」
「癒し? 日頃からストレスを受けているとも思えない貴方に、必要ですか?」
馬鹿にした様に、苦笑しながら見下す桔梗。
その様子に、ブチリと血管の切れるスクアーロ。
「何だとテメー!! 俺がどれだけのストレスを受けてるか知らねーから言えるんだよ!!」
「ハハン、ストレスを理由にザクロへと抱きつく口実にしか聞こえませんよ」
スクアーロの剣を避けながら、桔梗は匣兵器で攻撃を繰り出す。
「何だとテメー!!」
飛ばされてきたモノを、剣で全て切りさばきながらスクアーロは距離を縮める。
互いに一歩も引かない応戦が続く。
周りが攻撃の余波によって破壊されていく中、ザクロのいる周辺だけ無傷で残っていた。
「つーか、あいつら何で戦ってるんだバーロー」
「話の中心人物がソレを言ったら、身も蓋もありませんよー」
「…………で、どう言う事か説明してもらえるかな?」
ニッコリと微笑むのはボンゴレ十代目。
「屋敷一つ壊滅させるまでなら、まぁ分かるよ、今までもあったからね……でも、近隣一帯、草一本生えてない荒地ってどう言うことかな?」
爽やかな笑みに反して、その後ろにはどす黒い空気が漂っていた。
「XANXUSが出てこなかっただけ、まだマシだろうけどね……とりあえず、一週間、ザクロを俺が預かるから」
「う゛お゛ぉい! どう言うことだクソガキ!!」
机を叩き割る勢いで抗議するスクアーロを、呆れた目で見ながらツナはため息をついた。
「くだらない事で一々被害出さないでよね、癒しが欲しいのはこっちの方なんだよ?」
「ハハン、私も納得がいきませんよ、ボンゴレX世、本を正せばヴァリアー側の過失です」
「一番の被害を出したのは真6弔花だからね? それと、喧嘩を買ったのは君でしょ、桔梗?」
「…………」
一番の役得者は
誰でしょうか?
『獄寺君や山本がいない間に助手が来てよかったなー』
end
(2010/02/04)