桔ザク

「白蘭様、ザクロの事を気に入っているのですか?」
「うん、すっげー気に入ってるよ」

勿論真6弔花の全員気に入ってるけどね、とマシュマロを指先で遊びながら、嘘とも本当ともとれない様子で言う。


「手を出したいほどに、ですか?」
「何が言いたいのかな、桔梗チャン?」

まるで、答えを知っていながら、からかう様に桔梗に問いかける。


「私のものに、手を出さないでいただけますか?」


私が貴方を殺す事の無い様に、と壮絶なまでに美しい笑みを浮かべながら、桔梗は白蘭に忠告をした。

「それ本気? 恐いな~、まるで獲物を横取りされないように威嚇する獣みたいだ」

ニコニコと笑い目の前の桔梗を眺める。

「ええ、あれは私の獲物ですから」
「そうだね……まあ、知ってたけど」

平行世界での知識と思われる事を言われ、桔梗はピクリと眉を上げた。

「いいよ、別に、桔梗チャンの場合ザクロ君に手を出すと本当に恐いし」

何処までが本気か分からない白蘭の言葉を聞いた桔梗は、冷たい目で、目の前の得体の知れない存在を見る。


「本当だって、僕だってまだ大怪我したくないから」



知っているから
手を出さない


end
(2010/02/02)
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