断片話

◆飛ぶための翼
(昔話パロ)

元ネタ『雪女』+『天狗の羽団扇』

キャスト

雪女:桔梗
天狗:ザクロ



白い世界で、ある時偶然出会ったのは、漆黒の翼と鮮やかな紅。
騙し、交換条件とも呼べない脅迫を突き付け、自分の物にした相手。
何度、その翼を切り落とそうと考えたか。
何度、その瞳が空へと向かわず自分だけを見ることを望んだか。
音を立てて広がり、微かに羽を散らす翼。
傷めて飛べなくなれば良いと、何度思ったことか。

「バーロォ、いてぇだろ」
「ハハンッ、失礼しました」

千載一遇、そんな言葉が似合う状況。
もし、処置を少しだけぞんざいにすれば、飛ぶことを制限できる。
自分の元へと留まらせる事ができる。

「桔梗、テメーまさか自分から言い出した約束破る気じゃねーだろうな?」

手が止まったことを疑問に思われたのか、静かに言われた言葉。
今までの自分の頭の中で考えていた事を止め、言い返した。

「……愚問ですね。私が約束を違えるとでも?」

飛ぶための翼
そんなもの、なければ良いと思った


(2011/12/11)
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