桔ザク

それは、何と無く始まった会話だった……


「「桔梗とザクロって、本当に」」


「仲が悪いよね……」
「仲が良いよね~」


「「え?……」」


重なった言葉に疑問を懐き相手の方を見る。

「どういう事ブルーベル?」
「そっちこそ、どー言う意味?」
「だって、あの二人喧嘩してたし……」
「ニュ!? 胸焼けしそうなぐらいイチャついてるもん!!」
「ありえないよそんなの!?」
「そっちこそ無いもん!!」
「だって今日、白蘭様の話を聞いたとき……」



『ハハン、どう育てば白蘭様の素晴らしい言葉をしらけながら聞けるのでしょうか?』

眉を吊り上げながらザクロを冷たく見る桔梗、その言葉に鬱陶しげに顔をしかめながら桔梗を見返すザクロ。

『バーロー、俺の何処が白蘭様にしらけてるってんだ?』
『その顔ですよ、ダルそうなその顔をやめていただけませんか? 同じ真6弔花に白蘭様の言葉を真面目に聞けない方は必要ありません』
『けっ! 真面目に話を聞いてないだとバーロー? 俺は白蘭様より他人に気を向けてるお前に聞き返したいぐらいだ!!』
『ハハン、所構わず破壊しかできない貴方に言われたくありませんよ』
『ああ? ビュンビュン草しか出せねーくせに何言ってやがんだ!!』

その後も暫く口喧嘩は続いた……


「無いわよそんなの!」
「あの後ずっと聞かされたんだよ?!」
「何よ! そんなの聞き間違いでしょ、こっちはさっき二人でいるの見た時!!」



『ハハン、どうしましたザクロ?』
『あ? 別に何でもねーぜバーロー』
『後ろから抱き付いてきて何も無い、はありませんよ?』

読書をしている桔梗に抱きつきながら、退屈そうにしているザクロ。

『気にするなバーロー、いいから読んでろよ』
『ハハン、困った人ですね、この状態では読みにくいですよ』

少しも困った様子も無く、ただ嬉しそうに桔梗は微笑んでいた。


「ぼばっ!? あの二人が仲が良いの!?」
「そーだ! 覗き見したこっちが胸焼けしたもん!!」
「ありえないってば!」
「なんだとぉ!!」



「何やってんだあいつら?」
「さぁ? 子供どうし、たわいない喧嘩でしょう」

ブルーベルとデイジーが……ブルーベルが一方的にデイジーを攻撃している中。
話題の中心になっていたとも知らない桔梗とザクロはその様子を、廊下から眺めていた。

「腰掴むなバーロー」
「ハハン、先ほどあんなに誘ったのは誰ですか?」

自然にザクロの腰を抱き寄せていた桔梗は爽やかな笑みで返す。

「……つーか、今朝のは何だバーロー、白蘭様の事で喧嘩しようなんてよぉ」
「倦怠期と言うものを知りたかったものですから」
「意味あったのかよバーロー……」
「ハハン、たまには喧嘩をするのも良いものですよ?」

その後貴方からの甘えもありましたので、とにこやかに囁く桔梗に、ザクロは耳まで赤くなりながら外方を向いた。



どちらが本当?
イチャついているのが本当です


end
(2010/01/24)
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