断片話

◆休息
(-10:桔ザク)

「私は、貴方の時計が先に壊されて良かったと思いますよ」
「どう言う意味だバーロォ!」

桔梗の言葉を侮辱と取ったザクロは噛み付く様に怒鳴った。
そんなザクロの反応すら気にせず、桔梗はザクロを見ながら言った。

「貴方が傷つくことなくすんで、敵ではありますが六道骸に感謝したいぐらいです」

アルコバレーノの弾丸を受け、軽症で済んだ者はいない。
晴の炎で治癒を行っても、まだあまり自由にならない体。
最悪の事態にならなかったのが不思議なほどだった。



「俺より先に死ぬな、バーロー」
「……それは、私の台詞ですよ」

もう訪れる事のない未来で、先に死んだのは誰なのか。
残された側がどんな思いでその情景を見ているしかなかったのか。
受け継いだ記憶で、あれほど知らなければよかったと思うものはない。


(2012/06/26)
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