断片話

◆誘い方


「なぁ、桔梗」
「何ですか?」
「今夜ヤるぞバーロー」
「ハハン、分かりました。では、後ほど」
「おう」

そのまま何事もなかったかのようにポーカーに興じる二人。
その様子を傍で見ていた白蘭は、ふっと憂い気に首を振ってから口を開いた。

「うん、少しいいかな二人とも」
「ハハンッ、何でしょうか白蘭様」
「何ですか白蘭様」
「もう少し君達には情緒とか雰囲気を大切にしようって言う気持ちがないのかな?」
「ハハン?」
「はぁ?」
「訳が分かりませんて顔はしないでね、二人とも。言ってるこっちが悲しくなってくるから」

頭が痛くなりそうだと言う素振りを見せる白蘭。
桔梗とザクロは首を傾げながら、投げかけられた言葉の意味を考えた。

「雰囲気、ですか?」
「今更んなこと言われてもなぁ?」
「飾らない関係って大切かもしれないけど……はっきり言って君達の会話は赤裸々過ぎるんだよ! 何で前触れもなくヤろうなの!? そして桔梗チャンも当然のごとく受け止めようとしない!! 子供達が聞いてたらどうする積りだったの!?」
「ハハン、白蘭様。ブルーベルとデイジーはトリカブトと一緒に出かけていますよ?」
「屁理屈をこねないの!」



「でもよぉ、じゃあどうすりゃ良かったんだ?」
「ハハン、要するに単刀直入過ぎる言い方を止めればいいのだと思いますよ?」
「遠まわしに言えってか……一番苦手だぜバーロー」


(2011/10/05)
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