断片話

◆ズレの認識
(桔ザク+デイ)

「……ザクロは桔梗のどこが好きなの?」
「ああ? 何だ唐突によぉ」
「なんとなく……気になったから」

デイジーの言葉を聞いたザクロは、暇つぶし程度には答えてやるかと暫く考えた。

「案外可愛いところだろ」
「か、可愛いの!?」
「……んな驚くことかバーロー?」
「だ、だって桔梗の事言ってるはずなのに掛け離れてる事言うから」

動揺で声の震えるデイジー。
そんなに驚くことを言ったのかとザクロは眉を寄せた。



「意外と可愛いところだと思いますよ」

ほとんど同じ解答。
ゴクリと息を呑んだデイジーは確認するように聞いた。

「えっと……ザクロの事だよね?」
「ハハン、そうですよ」



桔梗との会話を終えたデイジーは、とぼとぼと廊下を歩いた。
いっそ質問をしない方がよかったと思える心境だった。
何も聞かなければズレに気づくこともなかった。

「絶対……どっちも自分が上だと思ってるよね……」

力関係ではなく、役柄的な意味での上。

「どーしたのよデイジー?」
「聞いちゃいけない事を聞いちゃったんだ……」
「ニュニュ?」


(2011/08/24)
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