断片話

◆無精髭


「ザクロって何でヒゲはやしてるのよ」
「ああ?」
「みすぼらしく見えるから剃っちゃえば?」
「バーロォ、分かってねーな電波ちゃんは、大人の魅力の一つだろ」
「電波じゃないわよ! ザリザリの触り心地が魅力なんてきもちわるーい」
「お子様にはまだ分かんねぇだろうよ」
「ハハンッ」
「……おい、今笑いやがったか桔梗」
「おや、失礼しました。つい」
「何だバーロー。ヒゲがそんなに可笑しいってのか?」
「ハハン、そんな事はありませんよ。ただ……」
「ただ? 何だよ」
「貴方がヒゲをはやしているのは、童顔を隠すためかと思っていたものですから」
「プッ、何それ、ザクロって童顔だったの?」
「んな訳あるかバーロォ!!」
「なーんだ、大人の魅力とか言ってるくせに、結局、歳ごまかすため? しかも若くじゃなくて老けて見えるようにってザクロってバカなの~!」
「童顔じゃねぇし、歳も誤魔化してねぇよバーロー! 桔梗、テメェ嘘言ってんじゃねぇ!!」
「ハハン、そうですか? 時々貴方が可愛らしく見えるのでそう思ったのですが」
「眼科にでも行け!!」


(2011/07/31)
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