断片話

◆苦手な相手
(桔+ルッス)

「あら! こんなに早く会えるなんて何て運命的な出会いかしら!」
「……ハハン、何か用ですか」
「そんなに心底嫌そうな顔しなくても良いじゃない」

失礼しちゃうわ、と口を尖らせるルッスーリアに、桔梗は眉間のシワをさらに深くした。

「用がないようでしたら、私は行かせてもらいますよ」
「せっかちな人ねぇ、じゃあ単刀直入に、デートしましょう桔梗ちゃん」
「お断りします」

バッサリと申し出を断った桔梗は、時間の無駄だったとばかりに踵を返して歩き出した。

「あぁ、そんな冷たいところもたまらないわぁ。でも断られたらしかたないわよね、ザクロちゃんでも誘いましょう」

聞き捨てならない台詞に足を止め、桔梗はルッスーリアへと振り返った。

「ハハン、ザクロが貴方を相手にするとは思えませんが?」
「心外ねぇ。私の魅力を持ってすれば簡単な事よ?」
「口を利けなくされるのが御望みですか?」
「あら、桔梗ちゃんが私の口を塞いでくれるの?」

熱烈歓迎よ! と唇を突き出すルッスーリア。
頭が痛くなるような気がしながら、桔梗は無言で雲桔梗を出し目の前の変態を拘束した。

「いやん!? SMプレイなんて聞いてないわ!!」
「安心してください。三日後に私が覚えていたら解きますから」
「まさかの放置プレイ!? いやぁ~ん!!」

振り返ろうともせず歩き出す桔梗に対し、しゃくとり虫の様に床を這いながらルッスーリアは叫んだが、雲桔梗が増殖を始め、蓑虫のようになり動けなくなった。


(2011/05/30)
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