断片話

◆突然ですが……


「ニュー! 何でブルーベルだけ生えてないの!?」
「いたッ……ブルーベル痛いよぉ」
「ブルーベルは激しくブロークンハートよ! その兎耳よこしなさいよ!!」
「ついてるから無理だよ……」

たれ兎耳をがっちりと掴むブルーベルに、いつ引き抜かれるかビクビクとデイジーは怯えた。



「猫耳が生える……って、どんな冗談だバーロー」
「ハハン、私に言わないでください」

ザクロの紅髪に黒い猫耳が覗き、桔梗からは白い……狼耳。

「お前に生えてんのはあれか? 本性を示してんのか?」
「随分な言いようですね」

貴方はネコには違いしませんが、と内心で続ける桔梗。
その目は、ザクロの様子を獲物を見るように捕らえていた。

「桔梗、俺を見るのを止めろ、寒気がする」
「看病でもしましょうか?」
「捕って食いそうな目を止めろって言ってんだよバーロォ!」


(2011/04/21)
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