断片話

◆諦め


「嫌いですよ、貴方が」

嫣然と微笑みながら言われたのは、心からの拒絶。

「だからって、何もこんな方法とるか普通よぉ」
「ハハン、黙っていてください。一番効果的なものには変わりませんから」
「そーかよ」

我ながら他人事のように対応するが、縫いとめられた腕は動かすたびに血が流れる。
まだそこら辺の外で、と言う状況でないだけましかもしれないが、後でベッドの後始末がさぞかし大変だろうなと、これもまた他人事のように考えた。

「何をされるか分かっていますか?」
「ああ? お前にヤられるんだろ?」

何を今更と聞き返すように問えば、逆に不思議そうに眺められた。

「そのわりには随分と余裕ですね。経験でもおありですか?」
「皮肉言ってるところ悪いけどなぁ。どーせ抵抗しても結果が同じなら、せめて最低限に被害をとどめたいだけだバーロー」
「ハハン、何も考えていないようで少しは考えていたんですね」


(2011/04/08)
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