断片話

◆掴めない手


「どうしました、ザクロ?」
「あ?」

掴まれていたのは、無意識に伸ばした手。

「随分とうなされていたようですが?」
「……何でもねぇよバーロー」

手を振り払うように力を込めると、あっけなく外れた。

「ハハン、全てを話して欲しいとは言いませんが、せめて…」
「うるせぇバーロォ」

髪をかき揚げ、うろんげに相手を睨んだ。
一瞬悲しげな表情をした相手は、諦めたように小さくため息をついた。


(2011/04/01)
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