断片話

◆狂言


「いっそ、貴方の頭の中が私の事で全て埋まればいいと思いますよ」

相手の目が見開き、何かを言おうとするのを遮るように言葉を続けた。

「歪んでいる、もしくは狂っている、ですか?」

相手の思っている事を当てた桔梗は軽く苦笑した。

「私は貴方を手に入れる為になら、どんな手段もいといませんよ」
「……そんな訳ねぇだろバーロォ」

低く呻くように否定する相手は燃えるような目で睨んできた。
その視線を甘んじて受けながら、桔梗は相手の言葉を代弁するように口を開いた。

「ただの遊びだと割り切っていた奴が、今更変な独占欲を出すな、でしょうか? 私は貴方との関係を一度でも遊びだとは言っていませんよ?」


(2011/04/01)
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