断片話

◆手に余る桜
(デイ→ザク?)

「あれ、早かったねザクロ……」

日本で用事があったんじゃなかったの、とザクロを迎えたデイジーは控えめに呟いた。

「ほらよ、やるぜ」
「ぼばっ……」

いきなり差し出された桜の枝。
驚いて声を出したデイジーは、まじまじとその枝とザクロを見比べた。

「何だバーロー、散り逝くのが好きなんだろ?」

ふて腐れたようにザクロが言う間にも、枝からはやわらかい花弁が一、二枚散っていった。
確かにはかなげなものが好きだが、まさかザクロから貰うとは思わなかった。

「う…ん……」

おずおずと手を伸ばし、デイジーはザクロから桜の枝を受け取った。

「次は一緒に行くか?」
「えっ……」
「んなもんすぐに散ってなくなるだろ。どうせならもっと多い方がスゲーだろ?」

ザクロからの言葉に、軽く考えてからデイジーは首を横に振った。

「やっぱりいいよ」
「なんでだバーロォ?」
「……十分だから」
「何だバーロー? 欲がねぇ奴だな?」


(2011/03/11)
41/80ページ