断片話

◆冷戦


「ハハン、私がザクロを好き? 何を言っているのですか」

冷笑と共に嘲るように言い放った桔梗。
その反応に、当分の間この状況が続くのかと、険悪な空気が漂う中、デイジーは思った。




「ブルーベル、どうしよう。当分仲直りしそうに無いよ?」
「ニュニュ~。こっちも駄目だったわ」

はぁ、とため息をつきあい、冷戦状態へと入っている大人二人の喧嘩の仲裁を諦めるべきかと、名案が思い浮かばない中考えた。

「何が原因なんだろうね……」
「どーせザクロが桔梗に愛想つかされたんじゃないの?」
「……否定はできないけど」

愛想がついたと言われ、売り言葉に買い言葉で喧嘩へと発展した。ありえ過ぎて何ともいえない。
けれど、ともう一度二人の様子を思い出し、デイジーは少しだけ疑問に思った。

「ザクロが怒ってる理由ってなんだろ」
「ニュニュ、それも不思議よね?」

桔梗がザクロに愛想をつかした、と言うなら何となく理由は思いつく。
元々だらしのないザクロとしっかり者の桔梗。
どちらかと言えば、桔梗がザクロへとつくしている状況だったのだから。
熱が冷めたと言えば、桔梗がザクロに対して冷たくなっても可笑しくはない。

けれど、ザクロが桔梗に対して怒る理由は何かと思うと、考え付かなかった。
一旦頭に血が上ったとしても、あそこまで怒りが継続するものかと疑問に思うほどだった。
いつもダルそうな無気力なザクロの様子からは、一旦苛立ってその後すぐに怒りがおさまりそうな気がする。


(2011/01/27)
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