断片話

◆淡白な悋気


「バーロー。恋人がいる前で普通他人に目が移るか?」
「ハハン、ついこの間、私が女性といた所を黙って見ていた人物の言葉とは思えませんね」

あの後、もし断らずに女性の誘いに乗っていたらどうする積りでしたか、と問いかける桔梗の目は笑っていた。

「面倒ごとは嫌いだぜ」
「淡白ですね」

バッサリと切り捨てるように言うザクロに、若干の呆れ混じりに笑った桔梗は、じっとザクロの顔を眺めた。

「何だよ」
「キスでもしませんか?」
「人前でやろうとすんなバーロー」
「ハハン、とことん貴方はつれない態度ですね」

クスクスと笑う相手に、ザクロは顔を顰めた。

「桔梗」
「何ですか? ザクロ」
「つれないって言ってるテメーの方が、よっぽど意地が悪いんじゃねーのか?」
「何の事でしょうか?」

分かっていながらとぼける桔梗に、ザクロは舌打ちをした。

「とぼけんなバーロー」


(2011/01/27)
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