桔ザク

「ねぇ桔梗、これなんて読むの?」
「ハハン、どうしましたかブルーベル」
「ほら、これ!」

ブルーベルが読んでいた本は、ことわざ辞典。
指をさした所に書かれていたのは、『万緑叢中紅一点』。

「ハハン、それは『ばんりょくそうちゅうこういってん』と読むのですよ、一般には省略して紅一点と言われていますが」
「『こういってん』?」

「万緑の中に一点の紅花がひときわ目立つことをさします、転じて――」
「わかった! ザクロのことだ!!」
「……ハハン?」

「だって、白蘭は白で、デイジーは緑でしょ、トリカブトは小豆色だし、ブルーベルと桔梗は水色でしょ? だから――ニュ? 桔梗なんで笑ってるの?」
「いえッ……なにも…」



紅一点と書いて
ザクロと読んでみる

『ハハン……間違ってはいませんけどね?』


end
(2010/01/18)
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