桔ザク

「あまりだらしが無いと、襲いますよ?」
「ばーろぅ、どこがだらしにゃいってんだよぉ」
「呂律の回らないその言葉からです……」

酔っ払っているザクロを運びながら、桔梗はため息をついた。



「……桔梗はザクロに甘い」


ブルーベルがザクロを丁寧に両手で抱えているのを見て頬を膨らましながらつぶやいた。


「女性ならもう少し足を閉じた方が良いですよ?」
「誤魔化しても駄目だもん!」
「後で貴方も運んだら、機嫌は良くなりますか?」


首をかしげながら言った桔梗の言葉に、赤くなりながらブルーベルは身を乗り出しながら聞き返した。


「ほ、ほんt「バーロぉ、うるせーぞぉ」 ニュ!?」

ブルーベルの言葉は、ザクロが頭に響くブルーベルの声を非難する言葉により消えた。


「桔梗、はやくつれてけよぉ」

ふにゃふにゃと寝ぼけながら擦り寄るザクロに桔梗は苦笑し。
ブルーベルは別の意味で先ほどより顔を真っ赤に染め、自分の会話に割り込んだザクロを睨んだ。


「ハハン……仰せの通りに」


ザクロが自分を頼って甘えてきたのが嬉しかったのか、桔梗は微笑みながらザクロを運んで行った。



「やっぱりムカつく~!!」


ザクロが桔梗に甘えたのも。
それに対して桔梗が喜んだのも。
桔梗が自分を運んでくれると言ったのを忘れたのも。
全て、酒に酔ったザクロが悪い、と抱えていたクッションに怒りをぶつけた。


朱に染まる果物
染まったのは何のため?


end
(2010/01/09)
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