断片話
◆落ちた紅い花
(桔ザク前提ルッスザク)
「慰めてあげても良いわよ? 身も心もドロドロになって、嫌な事を全部忘れちゃうぐらい甘やかしてあげるわ」
女らしい口調にわりに、サングラスの奥の目は獲物を狙うように此方を見てきた。
「……悪い冗談だなバーロォ」
「あら、冗談なんかじゃないわよ? 少なくとも、変な期待を持たせる人なんかよりは、はっきりと言ってあげる」
その後言われた言葉は、腐り落ちる果実のように甘く耳に響いた。
■
「あら、何かお探し中?」
「ザクロはどこですか」
睨みつけるような目を向けられ言われた言葉に、ルッスーリアはクスリと笑った。
「ザクロちゃんなら私の部屋にいるわよ」
「そうですか」
不快そうな返事をした桔梗はすぐ隣を通り過ぎて行った。
その足の向く方向を確認し、ルッスーリアは声を立てて笑った。
「ザクロちゃんに会う積もりなの?」
「ハハン、だったら何ですか」
「残念ね。もう遅いと思うわよ?」
「……ザクロが貴方を選んだとでも言いたいのですか?」
冷笑と共に送られた言葉。
ありえるはずがない、と軽蔑の意を籠めて言われた言葉に、ルッスーリアは逆に可笑しくなった。
「随分な自信ですこと。でも本当よ?」
目だけで人が殺せそうな物騒な視線。
それを甘んじて受けながら、ルッスーリアは目の前の相手が決して言わない事を言った。
「貴方の代わりに、私は変わらない愛を誓ってあげたわ。貴方には到底出来ない事よね?」
なにせ、愛情表現が出来ないんですもの。
(2011/01/02)
(桔ザク前提ルッスザク)
「慰めてあげても良いわよ? 身も心もドロドロになって、嫌な事を全部忘れちゃうぐらい甘やかしてあげるわ」
女らしい口調にわりに、サングラスの奥の目は獲物を狙うように此方を見てきた。
「……悪い冗談だなバーロォ」
「あら、冗談なんかじゃないわよ? 少なくとも、変な期待を持たせる人なんかよりは、はっきりと言ってあげる」
その後言われた言葉は、腐り落ちる果実のように甘く耳に響いた。
■
「あら、何かお探し中?」
「ザクロはどこですか」
睨みつけるような目を向けられ言われた言葉に、ルッスーリアはクスリと笑った。
「ザクロちゃんなら私の部屋にいるわよ」
「そうですか」
不快そうな返事をした桔梗はすぐ隣を通り過ぎて行った。
その足の向く方向を確認し、ルッスーリアは声を立てて笑った。
「ザクロちゃんに会う積もりなの?」
「ハハン、だったら何ですか」
「残念ね。もう遅いと思うわよ?」
「……ザクロが貴方を選んだとでも言いたいのですか?」
冷笑と共に送られた言葉。
ありえるはずがない、と軽蔑の意を籠めて言われた言葉に、ルッスーリアは逆に可笑しくなった。
「随分な自信ですこと。でも本当よ?」
目だけで人が殺せそうな物騒な視線。
それを甘んじて受けながら、ルッスーリアは目の前の相手が決して言わない事を言った。
「貴方の代わりに、私は変わらない愛を誓ってあげたわ。貴方には到底出来ない事よね?」
なにせ、愛情表現が出来ないんですもの。
(2011/01/02)