小話
【どこまでも愚か】
(白ザク)
「白蘭様、俺のものになってください」
「ザクロ君、それって横暴じゃないかな?」
「いけませんか」
乱暴な口調、敬語を使うのすら煩わしいと言わんばかりに自分を求める相手。
その様子は、あの丁寧で忠実な部下にも見せた事がないのかと思うと、少なからず優越感を覚えた。
「桔梗チャンに怒られても知らないよ?」
「貴方が俺のものになるなら、貴方の事が好きなあいつなんて殺してもかまいません」
無性に笑いたくなった。
いや、もう笑いが堪え切れずに肩を震わせた。
訝しげに見つめてくる目を見返し、勘違いをしている相手を優しく抱きしめ、囁いた。
「ザクロ君、桔梗チャンが愛してるのって、僕じゃなくて君だよ」
見えはしなかったが、きっと目を見開いて驚いているだろう相手を、さらに強く抱きしめた。
抱きたいと思われているとも知らない相手に対し、口元で弧を描いた。
「バカだねザクロ君、君は狩る側じゃなくて狩られる側だよ」
逃がしてあげない、他人なんかに渡してあげない。
愚かにも自分から狩られに来た獲物を、みすみす逃すわけもない。
end
(白ザク)
「白蘭様、俺のものになってください」
「ザクロ君、それって横暴じゃないかな?」
「いけませんか」
乱暴な口調、敬語を使うのすら煩わしいと言わんばかりに自分を求める相手。
その様子は、あの丁寧で忠実な部下にも見せた事がないのかと思うと、少なからず優越感を覚えた。
「桔梗チャンに怒られても知らないよ?」
「貴方が俺のものになるなら、貴方の事が好きなあいつなんて殺してもかまいません」
無性に笑いたくなった。
いや、もう笑いが堪え切れずに肩を震わせた。
訝しげに見つめてくる目を見返し、勘違いをしている相手を優しく抱きしめ、囁いた。
「ザクロ君、桔梗チャンが愛してるのって、僕じゃなくて君だよ」
見えはしなかったが、きっと目を見開いて驚いているだろう相手を、さらに強く抱きしめた。
抱きたいと思われているとも知らない相手に対し、口元で弧を描いた。
「バカだねザクロ君、君は狩る側じゃなくて狩られる側だよ」
逃がしてあげない、他人なんかに渡してあげない。
愚かにも自分から狩られに来た獲物を、みすみす逃すわけもない。
end