小話

【占領されたベッド】


「ハハン、まったく……貴方という人は危機感と言うものが無いのでしょうか?」

ほどいた髪を掻き揚げ、呆れながら呟いた。

「……しかたの無い人ですね」

自分のベッドで堂々と寝ている人物に対して、諦めにも似た感情があった。
起こしてベッドから退かそうと言う考えが微塵も浮かんでこないあたり、相当に甘やかしているような気がした。

「これも、私だけの特権ですか?」

無防備すぎる人物は起きそうにもなかった。
そんな様子に呆れていたはずなのに、口元がゆるんだ。

「ザクロ、私以外の所へは行かないでくださいね?」


end
11/29ページ