パロ系

「……新品のバスタオルを出しましょうか?」

読書をしていた桔梗は、ふと、貰い物を思い出し、バスルームへと行き新しいタオルをおろした。

「ハハン、まだ使いませんから此処で良いですね」

籠の中へと置き、扉を後ろ手に閉め歩いていった。

「お、バーロー、桔梗のやつ気がきくな」

少しだけ開いていた扉を開けると、フワフワとしたタオルがちょうど良い大きさの籠に入っていた。

「新品か……ちょうど良いな」

少し高い位置にあったが、難なく昇り、触り心地を確かめてから籠の中に入った。


「もう、こんな時間ですか……早めにシャワーでも浴びましょうか」

時計を見るとだいぶ読書に集中していたらしい、読んでいた本を閉じ、バスルームへと向かった。

「……ハハン、今日はお風呂も沸かしましょう」

籠の中に入り眠っているザクロを見つけ、そっと予定を変更した。


「んぁ? ……桔梗?」
「ハハンッ、起きましたか?」

ふにゃふにゃと寝ぼける頭で、何か気持ち良いなーと思いつつ、目を擦る。
目の焦点があったはずなのに、周囲が白くぼやけた。

「……俺の服はどうしたバーロー」
「お風呂に入るのに必要ですか?」

ザクロが溺れないよう手で支えながら、楽しそうに悪びれもせず桔梗は微笑みかけてきた。

「いらねぇけどよぉ……」

何となく納得がいかないのは何故だろうか。

「体でも洗いましょうか?」
「変な触り方するから断るぜバーロー」
「遠慮をしなくても良いんですよ?」
「してねー!!」

ザバリと桔梗の手から逃げ、洗い場へと降りたザクロは、自分で洗い始めた。

「泡を流しましょうか?」
「たのむ……」

シャワーに手が届かないので、しぶしぶ頼むと直ぐにお湯が……

「バーロー!! つめてぇだろ!!」

「ハハン、間違えました」

シャワーから出てきた水に驚き、扉の近くまで慌てて逃げたザクロを見ながら、桔梗は先ほどより楽しげに笑っていた。

「水は嫌いだって言ってんだろ!」
「そうでしたね」

今度こそ、お湯を出してザクロへとかける桔梗は、ザクロの様子を眺めた。

濡れた髪から滴る水滴。
上気しほんのりと赤みがさした肌。
を、じっくりと……

「…………何だよバーロー?」
「いえ、何でもありませんよ」

泡を洗い落としたザクロは、また桔梗に抱えられて湯船へとつかった。

「ハハン、本当にお風呂が好きですね?」
「水は嫌いだけどな」

ムッスリとした様子で桔梗に言うザクロだったが。
暫くすると、気を許したかのように桔梗に身を預け、気持ち良さそうに肩まで湯船の中に浸かった。



水は嫌い
でも、お風呂は好き


end
(2010/02/22)
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