桔ザク

日本の通勤ラッシュが酷いとは聞いていたが、此処まで酷いものかと、身動きの取れない状態で二人は思った。


「ハハン、酷い目に遭いましたね」

何とか目的地へとついた後、地獄絵図のような車内から出てきた桔梗は、髪を掻き上げながらつぶやいた。

「まったくだバーロー、何であんなもん乗らなきゃいけねーんだ」
「白蘭様の命令と言っても、さすがに二度と乗りたくありませんね」
「たく、人のケツ触って何が楽しいんだかな?」


やれやれと言った様子で愚痴るザクロの言葉を聞き、桔梗は聞き返した。


「……今、何と言いましたかザクロ?」
「あ? お前もだったんだろ、ケツ撫で回してくんの我慢してたんだろ?」
「…………」
「二度と乗りたくねーよなーバーロー」

事も無げに言ったザクロの言葉に、桔梗は目を細め、口もとに笑みを湛えた……

「ザクロ……少しここで待っていてくださいね?」
「ああ? ビュンビュン草出して何する気だよ、桔梗?」

高純度の炎をともした匣兵器を片手に、悠然と歩き出した桔梗は、ザクロの言葉に微笑みながら答えた。



その日、原因不明の事故が起こりました
「少し、制裁を与えに行ってきます」


end
(2010/01/16)
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