パロ系

……あるところに、黒いフードを被ったトリカブトと言う人物がいました。
いつも黒いフードを被っているので、黒頭巾のトリカブト、省略してトリカブトずきんと呼ばれていました。

「トリカブトずきんー、森にいるおばあさんの所へ行って来て」
「運搬の時」

お母さんであるブルーベルに言われたトリカブトずきんは、一言で返事を返し。
ワインや食べものをバスケットへと入れ、森の奥へと続く道を歩いていきました。
そんなトリカブトずきんを木の陰から見ていたのは、狼のデイジー。

「お腹、へったなぁ……食べもの分けてもらおうかな」

不死の体を持っているデイジー狼でしたが、空腹だけは、どうしようも無い問題でした。
暫く考えたデイジー狼は、意を決して、トリカブトずきんが歩いていく道を先回りしました。

「ぼばっ……えっと、近くにある花畑が綺麗だから、花を摘んでいったら喜ぶと思うんだけど……」
「花摘の時」

声をかける、デイジー狼に一言了解ともとれる返事をしたトリカブトずきんは、バスケットの中から食べものを取り出しまし、デイジー狼へと渡しました。

「良いの?」
「お礼の時」

差し出された食べものを受け取り、デイジー狼はお礼を言ってから自分の住処へと帰っていきました。
その後、色とりどりの花を摘んだトリカブトずきんは、バスケットの中を花で一杯にしながら。
森の奥にある家へとつき、ドアノブへと手をかけ、ゆっくりとドアを開けました。


「何で近くにいるんだ?」
「貴方を良く見るためですよ」

ベッドが二人分の重さで、ギシリと音をたてた。

「どうして、ベッドの上にのぼってくるんだ?」
「貴方に触れたいからですよ」

寝ている人物の服に手をかけながら、微笑み答えをかえす。

「……服に手をかけるのは何でだバーロー」
「ハハン、貴方を……食べるためですよ」
「狼を捕まえに行くんだろ、バーローッ!!」

ブチリとキレた、ザクロおばあさんは怒鳴ります。

「ハハン、そんなもの、いつでも行けますよ」

ぬけぬけと答えを返してきた桔梗猟師に、服を脱がそうとしている手を掴みながら、ザクロおばあさんは睨みます。

「だいたい、誰のせいでベッドから起き上がれないと思ってるんだ!?」
「私のせいですね、ですからこうして看病に来ているんですよ」

桔梗猟師とザクロおばあさんのベッドの上での攻防が続きます。

「バーロー! どこが看病だ、余計に悪化するだろ!!」
「ハハン、その時は、ずっと看病をしに来ますよ」

ザクロおばあさんの手を一まとめにしてベッドへと縫い付けた桔梗猟師は、狼へと変わろうとしていました。


「…………帰宅の時」


トリカブトずきんは静かにドアを閉めながら、来た道を帰って行きました。



黒頭巾トリカブト
「ニュニュ、渡してこなかったの!?」
「秘め事の時」


元ネタ 『赤ずきん』

キャスト

赤ずきん:トリカブト
お母さん:ブルーベル
狼:デイジー
おばあさん:ザクロ
猟師:桔梗


end
(2010/02/09)
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