パロ系

……あるところに、灰かぶり(キキョデレラ)と呼ばれる、それはそれは美しい……
美男子がおりました。

なぜ、灰かぶり(キキョデレラ)かと言うと。
美しい者にほど逆の意味をもつ名前の方が似合うとのことでキキョデレラと呼ばれていました。

本人は灰をかぶっているどころか、とてもキラキラと輝いていました。


「ハハン、何故私がこんな格好をしなければいけないのでしょうか?」


ボロのドレスさえ美しく見せてしまうキキョデレラマジック……本当に似合っています。
そんなキキョデレラの継母は、幻騎士と言うつぎはぎだらけのまろ眉毛。
何かと嫌みったらしく文句を言います。

その連れ子達、上からデイジー、ブルーベル。
継母とは反対にキキョデレラにとても懐いていました。

そんな、チグハグな家庭に、ある日お城からの招待状がきました。


「白蘭様に一目会える!!」

継母の幻騎士は、いそいそと支度を始めます。
その様子は……少し引くぐらい鬼気迫っていました。


「ニュー! 桔梗も行くの!!」
「連れて行くかこんな奴」

娘のブルーベルの訴えを一笑した継母は、キキョデレラのお城行きを許しませんでした。

「なんだとぉ! そのたれ眉毛剃って、つぎはぎの糸引きちぎるぞ!!」
「ブ、ブルーベル、落ち着こうよ……」

デイジーが継母に飛び掛ろうとするブルーベルを止めようと必死に抑えました。
継母の妨害があり、キキョデレラは1人屋敷へと取り残されました。
1人残されお城に行けない悲しみで泣い……


「ハハン、五月蝿くなくて素敵ですね」


……泣くわけでもなく、1人を楽しんでいました。
日常では継母に出さないような、高級な紅茶を淹れて、優雅に読書タイムに入っています。

そんな優雅な一時を過ごしていると。
やる気の無い爆発音と煙の中から1人の人物が現れました。


「バーロー、めんどくせーなー」

ダボダボの黒いローブを引っ掛け。
白く光る杖を持った人物は、あからさまに気だるげに言いました。

「何か用ですか?」

微笑みながら何事も無かったかのように質問するキキョデレラ。

「あ~、城のパーティーに行ってこい」
「唐突に何ですか? 説明になってませんよ」
「……こっちだってノルマがあるんだよ、とにかく、今日中にお前を城に送って王子に会わせないと、俺が減給になるんだバーロー」
「城には行きたくありませんよ」
「……特別に1つ願いかなえてやるから、城行けバーロー」

鉄壁の爽やかな微笑みに、そうそうに妥協案を出した魔法使いは、あからさまに面倒だと顔に出ていました。

「ハハン、本当ですか?」
「お、どうだ? バーロー、何でもいいぞ」

興味を示したキキョデレラに、魔法使いはノルマ達成のために願いを聞きます。

「……早速ですが、試しに大きなベッドを出していただけますか?」
「バーロー試しだと?」
「そうですよ、何も試さないうちに間違った願いを叶えられたら堪りませんから」
「……良いけどな、別によぉ」

何かキキョデレラに騙されている気がする魔法使いでしたが、しぶしぶ杖を振りました。
ポフンと音を立てて、寝心地の良さそうなベッドが出てきました。


「では、失礼します」
「あ?」

ドサッ、とベッドの上に魔法使いを押し倒すキキョデレラ。
無防備だった魔法使いは自分の出したベッドへと転がされました。


「ちょッ、待てバーローォ!?」
「ハハン、願いを叶えて頂けるのでしょう?」
「それとこれと何の関係があるんだ!!」

キキョデレラは、鮮やかな手つきで魔法使いのローブに手をかけます。
魔法使いの抵抗むなしく、キキョデレラの指先はローブの中へと入り込んでいきました。

「貴方をください、それが私の願いです」
「ッ……!?」

キキョデレラの指先は魔法使いの体の上を滑ります。
ゾクリとする刺激に、魔法使いはやめさせようと抵抗をしますが、
それはただ、ベッドをかすかに揺らす程度でしかありませんでした。


「さあ、メインディッシュはこれからですよ?」


その後、お城へと行った継母幻騎士は、王子白蘭の護衛騎士となり。
連れ子のデイジーとブルーベルはお城で生活し。
キキョデレラは魔法使いと幸せな生活を送りました。



キキョデレラ
0時の鐘はいりません。半強制的なハッピーエンド?


元ネタ『シンデレラ』

キャスト

シンデレラ:桔梗
継母:幻騎士
長女:デイジー
次女:ブルーベル
魔法使い:ザクロ
王子:白蘭


end
(2010/01/15)
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